3年近く前から唐突にギターを、それもエレキギターを始めた。
学生時代にバンドにも入らずアコギを爪弾いていたことはあるものの、人前で「ギター弾ける」というレベルには到達せず、15年以上ほぼギターは放置していた。
エンデューランススポーツの楽しさはいくつになっても感じられるだろうけど、どうしても競技志向で考えてしまう性格からすると、
自分の体力が顕著に低下し始めたら運動にも飽きてしまうのではないかと、と思い始めた。
また楽器を弾けないっていうのは自分の中で大きなコンプレックスの一つであったことも事実で、
色んな理由からやるなら今しかないと思いたちギターを再開した。
ちょっとした病気もあって半年ほどギターが弾けない時期もあったのだが、それを除いても2年以上はギターを弾いてきて、自分でも笑えるぐらいに下手くそなまま。
そんな腕前のくせに機材に興味が出るというのは自分という人間の業であろうか。
今まで使ってきたギターは、ギター再開時に改めて購入したFender Japanのストラトキャスター。
日本製だけあって作りもいいし、ピックアップ等のパーツが廉価版なだけで、本国製品に劣らないんじゃないの?って思うぐらいに不満がない。
ただ、ハムバッカーサウンドはもちろん出ないのだ。
ジミーペイジに憧れた人間としては、レスポールが欲しい。
もちろんepiphoneではなく、Gibsonの。
当然ビンテージものは手が出ないので、そのリイシューモデルとかかな〜なんて思いながら、
日本最大の楽器通販ポータルサイトの「デジマート」を見ていたら、出会ってしまったのだ。
あのメーカーに。
Paul Reed Smith
楽器店の店頭でも同社のギターを見たことあったはずなんだが、デジマートで青いPRSを見て、心を射抜かれた。
調べてみるといまや、Fender、Gibsonに次ぐ第3のメーカーともいうべき存在で、ギターマニアのPRSさんが作った会社だとか。
とにかくこだわりがすごくて、美しく、高品質なギターだという。
中でも、Mccarty594というモデルは、50年代後半のビンテージレスポールの音色を再現することを主眼に作られたモデルだと知り、
もはやこのギター以外眼中に入らなくなった。
他社のギター、特にFenderのギターは杢目があまり強調されないデザインになっているが、PRSのギターは真逆で杢目が命とでも言わんばかりに杢目の良し悪しが値段に直結する。
杢目の良し悪しというのは主観的な問題ではあるが、やはり美しいギターは誰が見ても美しく、お値段はそれなりにしてしまう。
また、カラーが非常に豊富なのもこのメーカーの特徴なのだが、残念ながらどうやら青いMccartyは日本にあまり入ってきていないようで、デジマートでほとんど引っかからない。
というかMccarty自体が日本では不人気なようなので、絶対数が少ないらしい。
半年近く待ったがやはり欲しい色が出てこない。出てきても杢目が気に入らない。
カラーリング名で検索すると海外のショップではいくつか出てくるのだが・・・。
ん、待てよ。自転車と同じく海外通販できるのでは?
ということで個人輸入してみたよ、というのが今回の主題。導入長すぎ。
どこで買ったか?
お店は米国、英国、独国少なくともこの3つは日本に送ってくれそうな店をgoogle検索で見つけた。
が、最終的に選んだのは米国のお店で、検索で見つけた店ではない。
きっかけは、eBayだった。
eBayで気に入った杢目・カラーのギターを何気なしにwatch listに突っ込んでいたら、ある日突然eBayからメールが来て、
「出品者が値引きするよってオファーしてるけど、買わない?」っていう内容だった。
確認してみると1割以上引いてくれていた。
商品ページを見ると「Music Store Live」という出品者で、3万件以上の評価があってほぼ100%の良評価。
どこのお店だろうかとググってみたらサンディエゴの楽器店のようだった。
Music Store Livehttps://musicstorelive.com
eBayを介すよりも手数料分だけでも値引きしてくれるかもっていう期待もありつつ、お店のコンタクトフォームから送料を問い合わせてみた。
数時間のうちに返信が来て、「更にディスカウントするよ」とも言ってくれている。
送料を込みにしても、同じグレードのギターを日本で買うよりちょっとは安くなる。少なくとも高く付くということはない。
半ば買う気になっていたのだが、念のためと思って「ギター、個人輸入」っていうキーワードで検索してみたところ、
自転車とは異なる障壁があることを知った。
ワシントン条約
ギターは特殊なものを除き、基本的に木製である。
その原材料に用いられる木材の一部が、ワシントン条約の保護対象となっており、製品である楽器も輸出入制限の対象になりうるのだ。
具体的には「ローズウッド」と「マホガニー」がギターでは影響が大きい木材になる。
あろうことか、Mccartyはこの両方を使ったギターなのだ。
最悪税関で輸出入が認められず没収・破棄ということもありうるようなので、慎重にならざるを得ない。
一旦はそんなリスクを背負うぐらいなら個人輸入をあきらめようかとも思ったが、税関に電話したり、税関のHPを読み込んだり、
さらには米国の合衆国魚類野生生物局のHPも熟読したりして、どうにか行けそうだという見込みがたった。
まずローズウッドについてだが、ちょうど2019年11月26日をもってローズウッドを使った楽器の輸出入制限が全世界的に撤廃された。
ただし、ローズウッド全てではなく、今や希少材料である「ブラジリアン・ローズウッド(=ハカランダ)」のみは制限されたまま。
Mccartyの通常モデルは当然そんな希少材料は使っていないので問題なく通関できる。
次にマホガニー。
「マホガニー」と通称される木材には3種類あり「Swietenia macrophylla(オオバマホガニー)」「Swietenia humilis(メキシカンマホガニー)」「Swietenia mahagoni」という学術名で分類される。
日本の税関のHPでは表記が不十分で絶対にわからないのだが、合衆国魚類野生生物局のHPを見ると「Swietenia macrophylla(オオバマホガニー)」という品種については輸出入制限の対象外らしい。(日本の税関にも念のため電話で一応確認はとった)
ややこしいのは、ギター流通においては、オオバマホガニーという品種名では呼ばずに、産地である「ホンジュラスマホガニー」だとか「ブラジリアンマホガニー」だとかで呼ぶのが一般的で、どの品種で作られたものであるのかは厳密にはわからない。メーカーのみぞ知るというわけだ。
ただし、ざっくり調べた限りでは、現代において新品として売られているギターでは「Swietenia macrophylla(オオバマホガニー)」を用いていることが多いようである。
参考ページ;
https://www.soundpure.com/a/expert-advice/guitars/tonewood-spotlight-mahogany/
Swietenia mahagoniはキューバ産であり、米国との関係からほとんど輸入されない希少種である。
Swietenia humilisは樹木が小さく良質なギターが作りにくいらしい。
まあ、ぶっちゃけた話、ローズウッドにせよ、マホガニーにせよ、実物を見ても、見た目だけではまずどの品種であるか判断できない、らしい。
今回は税関でのトラブルを回避するために、輸出時のinvoiceに「made of Swientenia macrophylla」と記載してもらった。(メーカーには・・・)
税関問題がクリアできそうな目処がついたので、実際に発注に進んだ。
万が一のトラブルがあったときに備えて、為替レートは悪いものの支払いは安心のPaypal。
Fedexで発送してくれて、1週間で到着した。
Fedexは事細かに追跡できるのでなかなかおもしろい。
サンディエゴ〜オークランド〜サンフランシスコ〜シアトル〜アンカレッジ〜広州〜関空という遍歴だった。
楽器は関税0%なので消費税のみの支払い。
1万5千円以上の税金については、Fedexの場合、個人輸入者では先払いになるらしく、電話口でクレジットカード番号を伝えて決済してもらった。
日本に到着した当日中に通関でき、翌日には手元に届いた。
国内の配送は西濃運輸のセイノースーパーエクスプレス便が担当してくれた。日本郵便もFedexの国内配送を担当することがあるようだが、荷物が大きいと西濃運輸なのかな?
セイノースーパーエクスプレスでは、Fedexの荷物番号でそのまま追跡できる。
配達時間などはwebからは指定できないが、担当営業所に連絡すれば調整してもらえた。
Music Store Liveの梱包は過不足のないもので、ハードケースに入っているギターということもあり、当然無傷で到着した。
ケースにも大きな損傷なし。
ギターの色目もほぼwebで見たとおりで、HPに挙げている写真のカラーマッチングなどもしっかり取っているようだ。
iPhoneやMacなど、カラーマッチングにある程度気を配っているデバイスで見る限り大きくイメージとずれることはなさそう。
もちろん、ギター自体も最高にいいギターである。
腕がついていかないけども(笑)
2019年12月23日月曜日
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