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2016年2月4日木曜日

「生瀬ヒュッテ」つづき

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承前。

つづいては「かたいパンセット」と食パン2種類の紹介を。
※田舎パンとライ麦パンは入れ替わってる可能性あり。

かたいパンセット  4個 1600円+消費税
•天然酵母 田舎パン
いわゆる「ハード系」に一番近いパンだろうか。薄いがパリッとしたハードっぽさのあるクラストに包まれるクラムからはほのかに酸味が漂う。ライ麦の酸味だろうか。
名前の通りの素朴さで、これはやはり食事に合わせて食べるべきパンだろう。

•天然酵母 ドライトマトとオリーブ、カシューナッツ
あれ?ピザ食べてるんだっけ?って思うほどに、オリーブとトマトの主張が強い。オリーブは酸っぱいのは苦手なのだが、ほとんど酸っぱさはなく、あの香りのみがただよう。生地はもっちりしてて、それもピザっぽさを演出。

•天然酵母 クリームチーズと黒胡椒
クリームチーズの爽やかな酸味に黒コショウのピリッとしたアクセント。一見するとフィリングが少ないようにも思えるのだが、くどくなりすぎずにあくまでさりげなく。

•ライ麦パン 安納芋と豆
ライ麦のほんのりした雑味のなかに埋め込まれた宝物のように時折顔を出す芋豆の素朴な甘さが絶妙。また、表面のごまの風味も食欲をさらにそそる。


・本日のスペシャルパン:ライ麦パン
ライ麦パンっていう名前ではあるけども、田舎パンの方がライ麦っぽさは強いかなという印象。
どちらかというとライ麦パンは苦手、とかライ麦パンを食べたことがないっていう人に向いてそうな尖った所の少ない、それでいて主張すべき風味はちゃんと残っているという印象。
フィリングももちろんなにもないけど、パクパクっとそのまま軽く食べちゃえる。

「かたいパン」とはいうものの、総じていわゆるハード系に比べると軟らかい。いわば「セミハード」。
タケウチのハード系は旧店舗でもこういう感じだったように記憶している。

続いて食パン。

・山小屋食パン 500円+税
写真で見てもらってただけではわからないと思うが、とてつもない重量感。
サイズ的には2斤程度の大きさなのだが、重量は3斤分ぐらいありそう。
切ってみてよくわかったが、密度がすごく高い。そのためか型崩れの気配すらない。
断面を仔細に眺めても、触って確かめてみても全くダマになってないのがスゴイ。よくあるバター超リッチのふわふわ食パンが羽毛布団的な触感だとすれば、いわば高密度ウレタンっていう感じ。
6枚切りサイズにカットしたものをトーストしてみたが、加水率が高いためか、内部まで焼けずに表面だけカリッとごく薄く焼きあがり、表面と中心部の弾力差がすごいことになっている。
バターの香りはあまり主張せず、猛烈に立ち上る麦の薫りにむせびながら、むちゅむちゅっと高弾力を自らの歯牙で愉しむ悦楽。たまらんです。

・胚芽食パン 500円+税
傾向的には山小屋と同様で、高加水率のパンであろう。
胚芽の雑味と粒状感がなめらかな舌触りにアクセントを加える。
山小屋と甲乙つけがたい。これはやっぱり2本とも買って、日替わりで、もしくは両方を愉しみたいものだ。


両方を愉しんでいる図。


薪窯の特徴なのかどうなのかはわからないが、焼きあがったパン全体への火の通り方が比較的均一な気がした。もちろん天板において焼いているパンがほとんどなのであろうが、全体がむらなく焼けているような印象。
また、全てのパンについて麦の薫りが素晴らしい。旧店舗のタケウチでは、比較的バターリッチなパンが目立っていたし、もしくはフィリングに凝ったパンも多かった。今回は開店間もないということでまだ窯の特性をつかみきっておらず比較的シンプルなパンにされたのもかもしれないが、奇を衒うことなく素材の良さと製パン技術のみでド直球の真っ向勝負というお品書きだったように感じた。

タケウチ不在の間に、私の好みがずいぶんハード寄りに偏向してしまったことがあり、もう少しハードっぽさがほしくなってしまうのは事実だが、魅力的なパン屋が復活してくれたことは素直にうれしい。
ぜひまた再訪したい。

西宮 生瀬「生瀬ヒュッテ」

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1年間まるっと更新をサボっておりました。諸般の事情により、パン屋の新規開拓ペースは落ち込んでいますが、気になる新店舗や移転も相次いでいますので、ぼちぼちと更新を再開していきます。

関西パン屋巡り49軒目:生瀬「生瀬ヒュッテ」


靭公園脇にあった名店「ブーランジュリ タケウチ」が閉店したのが2013年1月末のこと。
閉店時より「西宮生瀬に移転します」とのアナウンスがあり、確かその時点では1年以内にオープンします的なアナウンスだったようなおぼろげな記憶があるが、結局は延びに延びて3年の時を経て2016年1月25日に満を持してのオープンとなった。
店舗名も「生瀬ヒュッテ」に生まれ変わった。

場所は176の生瀬1交差点を北に折れ、さらにすぐに左折して武庫川を渡り花の峯という住宅街に入っていく坂の途中である。
私は宝塚在住なので、新店舗の工事途中の写真から大体この辺だろうなと当たりをつけて現地調査に赴き、実際に場所を特定していた(笑)
その時ふと思ったのが旧店舗閉店時の異常な混雑ぶりを考えると、この閑静な住宅街で普通の営業を行えば週末はどエライことになるのではないだろうか、ということ。間違いなく路駐の車で溢れかえり、地域住民との軋轢が生じるだろう。

その疑念への答えが「予約販売のみ」であった。
毎週月曜日の10〜14時に、その週の火曜日〜金曜日の販売分の予約を受け、それ以外は販売しないという営業形態である。しかも受け取り時間も10〜14時なので、地域住民への影響は少なさそうだ。
どうやら竹内シェフと奥様のお二人での営業をなさってるようで、マンパワー的にもこの形態の方が良いだろう。
さらに言えば、予約のみなので通常のパン屋では避けられない売れ残りの問題が完全に解決され、また辺鄙な場所へわざわざ予約して出かけるのだろうから自ずとまとめ買いしたくなる心理も重なって客単価は自ずと高くなるだろうし、かつパン自体の販売もセット販売のみにしてあるためさらに客単価は向上。
この短い短い営業時間でも十分にやっていけるのだろうと余計な邪推をしてしまった。

閑話休題。
新店舗オープンの報を受け、早速予約を行った。比較的すぐに繋がりスムースに予約は終えられた。
せっかくなので全種類を予約したのは当然のこと(笑)

たまたま仕事が休みになった妻に頼みこんで受け取りに行ってもらった。よって、私自身はまだ新店舗には立ち入っていないことをお断りしておく。





内外装は店名から連想しうる通りログハウス。新店舗のウリは何と言っても「薪窯」。これをやりたくて旧店舗をたたんだのかもしれない。
その薪窯からどんな素敵なパンが焼きあがってくるのか楽しみで仕方ない。

1月・2月のパンは
•かたいぱんセット 4つで1600円
•あまいパンセット 5つで1200円
•山小屋食パン 500円
•胚芽食パン 500円
の4種類。
あと実際に行ってみると、もちろん予約した人にしか売っていないのだが、あと2つ単品販売があったとのこと。(もちろんゲットしておいてくれた。)

今回は、まず「あまいパンセット」の紹介を。

あまいパンセット1200円+税


•イチジクとクルミの胚芽パン
球形のふわふわなマフィンのような外観。珍しい型を使うあたりがタケウチらしい。
生地のフワッととろける滑らかさ、胚芽の粒状感、クルミのざっくりとした歯ごたえ、イチジクの甘みが融合。

•2種レーズンのミルクパン 
従来のタケウチっぽいパン。ほのかに甘いふんわり、もっちり生地に、2種類のレーズン。カリフォルニアとカレンズ?

•クランベリーとホワイトチョコのミルクパン 
生地は同じ。クランベリーの酸味と、ホワイトチョコの濃厚な甘みが引き立てあう。ただしフィリングはかなり控えめで、あくまで主役は生地だろう。

•天然酵母 チョコレートとバナナ
生地そのものにチョコが練ってあり、見た目はかなり甘そう。表面はクッキー生地がかけてある。ふわりとかなりエアリーな土台で見た目に反して甘みは控えめ。フィリングのドライバナナの独特の甘みと香りが刺激になる。クッキー生地のざっくり感と、刻みアーモンドの香ばしさと歯ごたえが食感にアクセント。


•天然酵母 イヨカン
見た目はメロンパン。イヨカンがてんこ盛りかと思いきや、ほんのり香る程度。クッキー部分が繊細な薄さだが、あの食感がきちんと保たれていて、その下の土台はフワッとエアリーで、そこに爽やかな酸味を伴う伊予柑の芳香。

•本日のスペシャル:いろんなレーズンのライ麦パン
ライ麦の混じった生地にカリフォルニアレーズンとグリーンレーズン。カリッとセミハードなクラスト。引きが強いわけでもなく、むしろ容易にちぎれる。クラムもふんわりでもっちりさには乏しい。グリーンレーズンの強烈な甘みがガツンときて、ライ麦の香ばしさがそれを包み込む。

店舗情報:
「生瀬ヒュッテ」
西宮市塩瀬町生瀬1285-221
0797-24-2712
予約:月曜日10時~14時
受け取り:火曜~金曜日10時~14時


 
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