関西パン屋巡り200軒の36軒目。
芦屋の閑静な住宅街の一角に赤い屋根のお店がある。童話に出てきそうな、ドイツらしいウッディな内装。
ドイツで修行を積み彼の地でマイスターの称号を得た、正真正銘のドイツパン職人である松崎氏が生み出すパンは、ビオ原料、つまりは有機原料だけ(厳密にはバターは違うようだ)で作られている。玄麦(以前にも書いたが、玄米と同様に精製してない麦)を店内の石臼で自家製粉し、全粒粉として用いる。そのためには、外皮の部分に農薬が残留する恐れのある一般小麦は使えない、という考えなのだろう。
以前にも一度訪れたことがあったのだが、その時は夕方近かったせいか、ほとんどパンが残っていなかった。あまり好きではないのにシナモンロールを買って食べたものの、案の定良い印象は残らず、結果として再訪せずにいた。
最近、自分の中でライ麦に対する誤解が解けて来たこともあり、キチンと評価し直す必要があると感じて再訪に至った。
・クロワッサン
空腹だったので、店舗前でいただいた。
断面が茶色い不思議な見た目。いわゆる正統派フランスパンのもののようなサクッとしたパイのような食感には乏しいが、しっかりと幾重にも形成された層からはバターの豊かな風味とさとうきび的な柔らかな甘さが押し寄せてくる。こんなにも甘いクロワッサンは初めてだ。けど、シロップをかけて焼いてあるようなクロワッサンまがいとは違って、後味は非常にさっぱりしてる。
いきなりガツンと衝撃を食らわされた。
・フォルコーンブロート
芳醇な柔らかな麦の匂いがフワッと香る。やや薄めのクラストは固めのクッキー的な食感で、ハードではあるがハード過ぎず。クラムは比較的均一な気泡で、目が詰まったいかにもドイツパン。天然塩の柔らかな塩味がアクセント。トゲトゲしい味が全くない。
芳醇な柔らかな麦の匂いがフワッと香る。やや薄めのクラストは固めのクッキー的な食感で、ハードではあるがハード過ぎず。クラムは比較的均一な気泡で、目が詰まったいかにもドイツパン。天然塩の柔らかな塩味がアクセント。トゲトゲしい味が全くない。
フォルコーンよりも僅かに酸味が強い香り。クラストも、より薄く、味わいもやや酸味ありで苦味も少しある。くるみは噛み砕くと適度な歯応えとともに砕けて、パン生地の酸味をわずかに中和する。
「ドイツパンは食べにくい」という定説を覆すパンを作りたい、という思いが込められたパンだと何かで目にしたが、まさしくその通りで、本当に口当たりがよくクセがない食べやすいパン。
素材との対話の中で生まれた優しさと滋味にあふれたパン。
超絶におすすめ。
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