といっても、タレント本と同じくもちろんゴーストライターさんが書いてるんだろうけど、一応初著作ということになるのかな。
価格が比較的高い本だったので、予約してまでは買わずに口コミ待ち。
Twitterでの評判が比較的良さそうだったので、旬なうちにとAmazonプライムで即お取り寄せしてみた。
タイトル通り、サラリーマンライダーが如何に限られた時間で強くなるか、ということにスポットを当て、著者の実体験を基にトレーニング方法を紹介している。具体的に「この強度で何分」というメニュー本の類ではなく、大まかな練習内容の決め方が紹介されている。また、機材やポジションなどに対する私見も盛り込まれている。
個人的に興味深く読めたポイント数点を箇条書きにしてみる。
◼︎トレーニング内容の指標としては「時間」を用いる。
→設定した時間(数分から数時間)の中で持続できる最大の強度でトレーニングする
◼︎パワーメーターは練習後にしか見ない
◼︎高強度になると前乗りになるので、サドルポジションはその位置に合わせている
◼︎何よりも靴に投資すべし
特に最初に挙げた「決めた時間内で維持しうる最高強度のトレーニングを行う」っていう発想は自分にはなかったので非常に参考になった。
パワートレーニングをしていると、FTPに縛られて、良くも悪くも設定した強度での練習にとらわれてしまいがちになるが、練習内容をあとから確認するための指標としてパワーメーターを用いるっていうのは、誰でも気づきそうで案外実践していないことだろう。
やっぱりせっかくメーターがあったら見てしまうのが人情だもの。
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その他、通読して全体を見渡すと、著者の想いが込められているのは伝わるものの、紙幅の都合もあるのか薄い内容になっているのはやむを得まい。
読んでいて気になったのは、「誰にでも実践できることじゃないよね?」「真似したくてもできないよね?」っていうのが結構あること。
例えば金銭感覚。
「靴は高くても5万円程度だから妥協するな」ってさらりと書かれているわけだが、大半のサラリーマンにとって5万の靴はかなり高価なはず。
「練習にはカーボンホイールを使ってて、最近はLightweightのカーボンクリンチャーも使ってる」とか、うーん、なんか感覚が一般とは随分と違う。
また、氏が今現在強い背景には、日々のトレーニングの成果のみならず間違いなく学生時代の貯金があるわけで、それもやはり「誰にでもできること」ではない。そういった点を完全に度外視してるのも、違和感ありあり。
さらに一番違和感を覚えたのは、家族のことが全く出てこないこと。
「仕事とトレーニングの両立」という点にはページが割かれているのに、家族へのケア、家庭との両立という視点が完全に欠落している。
個々の家庭で事情が全然異なるだろうから、一般化させて記事にはしにくいのだろうけど、それにしてもサラリーマン向けと題した本であれば、避けては通れないポイントだと思うのだが・・・。
著者のブログを見ていていつも感心するのが、奥さんの理解度の高さ。毎週末の土日を練習に明け暮れる旦那によく怒らないものだなあと。奥さんもフルタイムで働いてそうな感じなのに。
これもやはり「誰にでも真似できること」ではない。
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ネットでこの本の感想を見てみると、「サラリーマンライダーとしてモチベーションをもらった」といったものが多い気がするが、少なくとも私には、主たる読者層たる家庭・妻子持ちサラリーマンへは真の意味で心へ響きにくい本であると感じられた。
普通のトレーニング本としては、まずまず及第点以上だとは思う。
※6月16日追記:上記の書評はRE氏のことを貶しているわけではない。むしろRE氏のブログを拝見していると、家族を大事されている様子が非常に伝わってくる。伝わってくるからこそ、そこらへんの気遣いについても本の中にエッセンスとして忍ばせておいてほしかったなあというだけのこと。「サラリーマン向け」と銘打っているからには、ぜひ踏み込んだ記載が欲しかった。
※6月16日追記:上記の書評はRE氏のことを貶しているわけではない。むしろRE氏のブログを拝見していると、家族を大事されている様子が非常に伝わってくる。伝わってくるからこそ、そこらへんの気遣いについても本の中にエッセンスとして忍ばせておいてほしかったなあというだけのこと。「サラリーマン向け」と銘打っているからには、ぜひ踏み込んだ記載が欲しかった。