3年近く前から唐突にギターを、それもエレキギターを始めた。
学生時代にバンドにも入らずアコギを爪弾いていたことはあるものの、人前で「ギター弾ける」というレベルには到達せず、15年以上ほぼギターは放置していた。
エンデューランススポーツの楽しさはいくつになっても感じられるだろうけど、どうしても競技志向で考えてしまう性格からすると、
自分の体力が顕著に低下し始めたら運動にも飽きてしまうのではないかと、と思い始めた。
また楽器を弾けないっていうのは自分の中で大きなコンプレックスの一つであったことも事実で、
色んな理由からやるなら今しかないと思いたちギターを再開した。
ちょっとした病気もあって半年ほどギターが弾けない時期もあったのだが、それを除いても2年以上はギターを弾いてきて、自分でも笑えるぐらいに下手くそなまま。
そんな腕前のくせに機材に興味が出るというのは自分という人間の業であろうか。
今まで使ってきたギターは、ギター再開時に改めて購入したFender Japanのストラトキャスター。
日本製だけあって作りもいいし、ピックアップ等のパーツが廉価版なだけで、本国製品に劣らないんじゃないの?って思うぐらいに不満がない。
ただ、ハムバッカーサウンドはもちろん出ないのだ。
ジミーペイジに憧れた人間としては、レスポールが欲しい。
もちろんepiphoneではなく、Gibsonの。
当然ビンテージものは手が出ないので、そのリイシューモデルとかかな〜なんて思いながら、
日本最大の楽器通販ポータルサイトの「デジマート」を見ていたら、出会ってしまったのだ。
あのメーカーに。
Paul Reed Smith
楽器店の店頭でも同社のギターを見たことあったはずなんだが、デジマートで青いPRSを見て、心を射抜かれた。
調べてみるといまや、Fender、Gibsonに次ぐ第3のメーカーともいうべき存在で、ギターマニアのPRSさんが作った会社だとか。
とにかくこだわりがすごくて、美しく、高品質なギターだという。
中でも、Mccarty594というモデルは、50年代後半のビンテージレスポールの音色を再現することを主眼に作られたモデルだと知り、
もはやこのギター以外眼中に入らなくなった。
他社のギター、特にFenderのギターは杢目があまり強調されないデザインになっているが、PRSのギターは真逆で杢目が命とでも言わんばかりに杢目の良し悪しが値段に直結する。
杢目の良し悪しというのは主観的な問題ではあるが、やはり美しいギターは誰が見ても美しく、お値段はそれなりにしてしまう。
また、カラーが非常に豊富なのもこのメーカーの特徴なのだが、残念ながらどうやら青いMccartyは日本にあまり入ってきていないようで、デジマートでほとんど引っかからない。
というかMccarty自体が日本では不人気なようなので、絶対数が少ないらしい。
半年近く待ったがやはり欲しい色が出てこない。出てきても杢目が気に入らない。
カラーリング名で検索すると海外のショップではいくつか出てくるのだが・・・。
ん、待てよ。自転車と同じく海外通販できるのでは?
ということで個人輸入してみたよ、というのが今回の主題。導入長すぎ。
どこで買ったか?
お店は米国、英国、独国少なくともこの3つは日本に送ってくれそうな店をgoogle検索で見つけた。
が、最終的に選んだのは米国のお店で、検索で見つけた店ではない。
きっかけは、eBayだった。
eBayで気に入った杢目・カラーのギターを何気なしにwatch listに突っ込んでいたら、ある日突然eBayからメールが来て、
「出品者が値引きするよってオファーしてるけど、買わない?」っていう内容だった。
確認してみると1割以上引いてくれていた。
商品ページを見ると「Music Store Live」という出品者で、3万件以上の評価があってほぼ100%の良評価。
どこのお店だろうかとググってみたらサンディエゴの楽器店のようだった。
Music Store Livehttps://musicstorelive.com
eBayを介すよりも手数料分だけでも値引きしてくれるかもっていう期待もありつつ、お店のコンタクトフォームから送料を問い合わせてみた。
数時間のうちに返信が来て、「更にディスカウントするよ」とも言ってくれている。
送料を込みにしても、同じグレードのギターを日本で買うよりちょっとは安くなる。少なくとも高く付くということはない。
半ば買う気になっていたのだが、念のためと思って「ギター、個人輸入」っていうキーワードで検索してみたところ、
自転車とは異なる障壁があることを知った。
ワシントン条約
ギターは特殊なものを除き、基本的に木製である。
その原材料に用いられる木材の一部が、ワシントン条約の保護対象となっており、製品である楽器も輸出入制限の対象になりうるのだ。
具体的には「ローズウッド」と「マホガニー」がギターでは影響が大きい木材になる。
あろうことか、Mccartyはこの両方を使ったギターなのだ。
最悪税関で輸出入が認められず没収・破棄ということもありうるようなので、慎重にならざるを得ない。
一旦はそんなリスクを背負うぐらいなら個人輸入をあきらめようかとも思ったが、税関に電話したり、税関のHPを読み込んだり、
さらには米国の合衆国魚類野生生物局のHPも熟読したりして、どうにか行けそうだという見込みがたった。
まずローズウッドについてだが、ちょうど2019年11月26日をもってローズウッドを使った楽器の輸出入制限が全世界的に撤廃された。
ただし、ローズウッド全てではなく、今や希少材料である「ブラジリアン・ローズウッド(=ハカランダ)」のみは制限されたまま。
Mccartyの通常モデルは当然そんな希少材料は使っていないので問題なく通関できる。
次にマホガニー。
「マホガニー」と通称される木材には3種類あり「Swietenia macrophylla(オオバマホガニー)」「Swietenia humilis(メキシカンマホガニー)」「Swietenia mahagoni」という学術名で分類される。
日本の税関のHPでは表記が不十分で絶対にわからないのだが、合衆国魚類野生生物局のHPを見ると「Swietenia macrophylla(オオバマホガニー)」という品種については輸出入制限の対象外らしい。(日本の税関にも念のため電話で一応確認はとった)
ややこしいのは、ギター流通においては、オオバマホガニーという品種名では呼ばずに、産地である「ホンジュラスマホガニー」だとか「ブラジリアンマホガニー」だとかで呼ぶのが一般的で、どの品種で作られたものであるのかは厳密にはわからない。メーカーのみぞ知るというわけだ。
ただし、ざっくり調べた限りでは、現代において新品として売られているギターでは「Swietenia macrophylla(オオバマホガニー)」を用いていることが多いようである。
参考ページ;
https://www.soundpure.com/a/expert-advice/guitars/tonewood-spotlight-mahogany/
Swietenia mahagoniはキューバ産であり、米国との関係からほとんど輸入されない希少種である。
Swietenia humilisは樹木が小さく良質なギターが作りにくいらしい。
まあ、ぶっちゃけた話、ローズウッドにせよ、マホガニーにせよ、実物を見ても、見た目だけではまずどの品種であるか判断できない、らしい。
今回は税関でのトラブルを回避するために、輸出時のinvoiceに「made of Swientenia macrophylla」と記載してもらった。(メーカーには・・・)
税関問題がクリアできそうな目処がついたので、実際に発注に進んだ。
万が一のトラブルがあったときに備えて、為替レートは悪いものの支払いは安心のPaypal。
Fedexで発送してくれて、1週間で到着した。
Fedexは事細かに追跡できるのでなかなかおもしろい。
サンディエゴ〜オークランド〜サンフランシスコ〜シアトル〜アンカレッジ〜広州〜関空という遍歴だった。
楽器は関税0%なので消費税のみの支払い。
1万5千円以上の税金については、Fedexの場合、個人輸入者では先払いになるらしく、電話口でクレジットカード番号を伝えて決済してもらった。
日本に到着した当日中に通関でき、翌日には手元に届いた。
国内の配送は西濃運輸のセイノースーパーエクスプレス便が担当してくれた。日本郵便もFedexの国内配送を担当することがあるようだが、荷物が大きいと西濃運輸なのかな?
セイノースーパーエクスプレスでは、Fedexの荷物番号でそのまま追跡できる。
配達時間などはwebからは指定できないが、担当営業所に連絡すれば調整してもらえた。
Music Store Liveの梱包は過不足のないもので、ハードケースに入っているギターということもあり、当然無傷で到着した。
ケースにも大きな損傷なし。
ギターの色目もほぼwebで見たとおりで、HPに挙げている写真のカラーマッチングなどもしっかり取っているようだ。
iPhoneやMacなど、カラーマッチングにある程度気を配っているデバイスで見る限り大きくイメージとずれることはなさそう。
もちろん、ギター自体も最高にいいギターである。
腕がついていかないけども(笑)
2019年12月23日月曜日
2019年9月20日金曜日
Paris Brest Paris 参戦記 その4
6)PBP3日目:2019/8/21(Wed)3:30〜8/21(Wed) 19:23 Fougeres(923km)〜Rambouillet(1219km)
予定通り3時に起床。こわばった体をゆっくりとアクティブストレッチしてほぐしていくが、かなりガタが来ている。怪我の痛みは殆どなくなっていた。
朝食をもう一度取ろうかと思ったが、それほど空腹感もなかったので、軽食コーナーで補給食としてまたもやパン・オ・ショコラを2個買って出発。
明け方の寒さを避けたくてFougeresまで一気に行く作戦に変えたのに結局早朝に走らないといけないというジレンマ。ゴール時間にすごいこだわりがあるわけではないのだが、宿がParis市内という関係上、ゴール時間が終電を超えてしまうと翌朝までRambouilletで待機もしくは自走でParisまでということになってしまう。まだParis市内で観光や買い物などやりたいこともあったので、なんとか水曜日中にゴール、そして宿に戻りたかった。終電が確か23時頃だったので、それを目標にして、なおかつ時間に余裕をもって逆算していくと3時、4時の出発が必要と判断した。
が、しかし、寒い、眠い。
ここまで眠気とはほぼ無縁で来られたが、5時間寝たにも関わらず、この日の夜明けまでがまさしく睡魔との戦いだった。ジャケットのファスナーを開けて冷気が入ってくるようにしたり、歌を歌ったり。追い越したり、追い越されたりする外国人の方も、音楽をスピーカーでかけてたりしてたので、みんな眠いんだろう。生憎、iPhoneの充電ケーブルの不調で充電ができないトラブルに見舞われてしまったので、バッテリー温存のために、音楽やPodcastを聞きながら走るということができない状態だったので、ひたすらアカペラで歌いまくった。ミスチルの全シングルを最初から最新までだいたい歌い尽くして、ようやく夜が明けてきた。
初日に高速道路みたいだと感じていた区間は、明るい中で見てみると、やはり幹線道路っぽいところで、地平線までど直線のアップダウンだったり。北海道のツーリング写真で上がってるような景色をイメージしてもらうとわかりやすい。要するに、しんどいときには非常に単調で苦痛でしかない。
起床後に食事を取らずに出発してしまったのが案外効いてきて、おそらく寒さに対しての発熱もあってか、エネルギーが枯渇気味になってきた。あろうことか、虎の子のパン・オ・ショコラを1個落としてしまうという凡ミスを犯してしまい、万事休すか!と思われたとき、僕を救ってくれたのは、フロントバッグの奥底に残っていたビスコだった!!「I LOVE BISCO」とフランスの中心で(ビスコ)愛を叫んだ。
PC11 Villians-La-Juhel(1012km)に到着したのは8時頃。
往路では利用しなかった食堂でたらふく朝食をいただく。コントロールや軽食コーナーがある棟と道路を挟んで反対側にあるので、往路は存在すら気づいていなかった。
ここのメカニックサービスでタイヤの空気圧もチェックしてもらった。Rambouilletで6.5barぐらいまで入れてたが、5bar台まで落ちていた。若干しゃっきりした走りに戻った感覚。今になって思えば、お尻へのダメージを考えたらそのままの空気圧のほうが良かったかもしれない。
あと200km。いよいよ日帰りサイクリングの距離感まで戻ってきた。
夜が明けたら眠気は完全に消えたので、あとは粛々と距離をこなしていくだけ。次のPCまであと1時間もかからないぐらいの距離で空腹感を感じたので、ふらっと、大きめの街(Mamers)で寄り道してみることにした。目に入ったBoulangerieへ行ってみると、地元で人気のBoulangerieらしく次から次へとお客さんが入ってくる。これは大正解かな?ショーケースを眺めていると、Patisserieも兼ねているようで(フランスでは多いね)パリブレストを発見!期間中に絶対食べたいと思ってたので、即決!レジに並んでいたおばあさんに「あなたPBPの出場者なんでしょ!?」って(多分そんなニュアンス)聞かれたのでサムズアップしておいた。店の前のテラス席で優雅にエスプレッソを飲みながら食べるパリブレスト。ヨーロッパのサイクリストの写真でよく出てくるやつだ!って思いながら、時間を気にせずゆっくりと休憩。甘いものを食べるとやっぱり元気が出て、そこからは一気にペースアップできた。
PC12 Mortagne-au-Percheには13時すぎ到着。
100km前後でPCがあるとちょうどいい具合にお腹も減るので、毎回しっかりがっつりと食事を摂れる。大体到着時間の目処が立ってきたのでゴールに間に合うようにと家族に連絡した。
このPCの前後には8〜10%ぐらいのややキツめの短い登りがあり、それをクリアすれば、初日に自分がヌルゲーと勘違いしたボーナスステージを残すのみのはず。記憶には間違いはなく、ここからのラスト100kmはさほどのアップダウンもない快走路。気温も上がりすぎず気持ちいいことこの上ない。ずっとこんなコースならいいのに!ずっとこんな時間帯に走れたらいいのに!追い風なので図らずしてスピードが乗りまくって楽ちん。
ラストPCであるDreuxの街は往路では通らなかったところなので、どんなところだろうかと楽しみにして走っていくと、PC手前5kmほどで急に都会的な雰囲気に。Paris市内へのベッドタウン的な位置づけの街なのか、今回走ったコースの中では1番の大都会に感じた。その分、さすがにフランスと言えど車のマナーも少しだけ悪いようにも思えた。
PC13 Dreuxには17時10分頃に到着。
Dreuxは駐輪スペースからコントロールまでが遠い!300mぐらいはあったね。疲れた体に、クリート付きのシューズでの徒歩は堪える。
ここの軽食コーナーでまたもやパリブレストを見つけたので食べたが、Mamersで食したものには遠く及ばず。異様に冷えていたので、冷凍したのを再解凍したものだったのかも。
ゴールまではあと40kmほど。のんびり行くべ、と思って出発したものの、いざ走り出すと最後という高揚感でアドレナリンが出まくってしまい、30km巡航。
そんな中、PBP中で最悪の事件が発生。自分を追い抜いていったワンボックス車から、ジュースみたいなものをぶっかけられた。暑いから水をかけてあげようなんていう感じではなく、DQNっぽいやつがケタケタ笑いながらかけていったので、嫌がらせなんだろう。最後の最後でこんなやつに出くわすとは・・・。
ボトルの水を体にかけてジュースを洗い落として、気持ちをリセット。あと20km、15kmとどんどんゴールが近づいてくる。ラストに微妙なアップダウンがあったけれどもゴリ押しで踏みまくってクリアしていく。どこにこんな体力残ってたんだ。
Rambouillet城に入ると、すでにゴールした方々やその関係者の方が、拍手で迎えてくれた。石畳区間をパンクしないように慎重にクリアして、グラベル区間へ。ゴールゲートが見えてきた。娘と父が待ってくれているはず!恥ずかしい気持ちはありつつも、両手を離してバンザイポーズでゴール!!!
ん、でも、シャッター音聞こえなかったぞ。
日本語も聞こえてこない。
おかしい・・・。あたりを見回しても家族がいない。携帯で連絡しても応答しない。
とりあえずゴールの受付を済ませることにした。初日に車検をやっていた巨大なテントがコントロールになっており、Rambouilletのスタンプを押してもらって壮大なスタンプラリー終了。記念メダルをかけてもらい、サプライズプレゼント的に行程中ずっとランドヌールを導いてくれた案内板をもらった。これ貰えないかなって走りながら思っていたので、ある意味メダルより嬉しかった。
ゴール後のウェルカムミールはカレー味!フランス人もよく分かってるね!疲れたときはカレーに限る。と、食事をしていると家族から連絡が。どうやら1本遅い電車に乗ったせいでゴールに間に合わなかったらしい。おいおい・・・。
ゴールゲートで記念撮影して家族と合流。ま、ゴール間に合わなかったのは残念だけど、走り終えた直後に祝福してもらえるだけでも幸せだと思わないと。
こうして僕のPBP2019は幕を閉じた。
走行距離:1219km、所要時間:73時間18分55秒、平均速度:16.57km/hr「完走」
予定通り3時に起床。こわばった体をゆっくりとアクティブストレッチしてほぐしていくが、かなりガタが来ている。怪我の痛みは殆どなくなっていた。
朝食をもう一度取ろうかと思ったが、それほど空腹感もなかったので、軽食コーナーで補給食としてまたもやパン・オ・ショコラを2個買って出発。
明け方の寒さを避けたくてFougeresまで一気に行く作戦に変えたのに結局早朝に走らないといけないというジレンマ。ゴール時間にすごいこだわりがあるわけではないのだが、宿がParis市内という関係上、ゴール時間が終電を超えてしまうと翌朝までRambouilletで待機もしくは自走でParisまでということになってしまう。まだParis市内で観光や買い物などやりたいこともあったので、なんとか水曜日中にゴール、そして宿に戻りたかった。終電が確か23時頃だったので、それを目標にして、なおかつ時間に余裕をもって逆算していくと3時、4時の出発が必要と判断した。
が、しかし、寒い、眠い。
ここまで眠気とはほぼ無縁で来られたが、5時間寝たにも関わらず、この日の夜明けまでがまさしく睡魔との戦いだった。ジャケットのファスナーを開けて冷気が入ってくるようにしたり、歌を歌ったり。追い越したり、追い越されたりする外国人の方も、音楽をスピーカーでかけてたりしてたので、みんな眠いんだろう。生憎、iPhoneの充電ケーブルの不調で充電ができないトラブルに見舞われてしまったので、バッテリー温存のために、音楽やPodcastを聞きながら走るということができない状態だったので、ひたすらアカペラで歌いまくった。ミスチルの全シングルを最初から最新までだいたい歌い尽くして、ようやく夜が明けてきた。
初日に高速道路みたいだと感じていた区間は、明るい中で見てみると、やはり幹線道路っぽいところで、地平線までど直線のアップダウンだったり。北海道のツーリング写真で上がってるような景色をイメージしてもらうとわかりやすい。要するに、しんどいときには非常に単調で苦痛でしかない。
起床後に食事を取らずに出発してしまったのが案外効いてきて、おそらく寒さに対しての発熱もあってか、エネルギーが枯渇気味になってきた。あろうことか、虎の子のパン・オ・ショコラを1個落としてしまうという凡ミスを犯してしまい、万事休すか!と思われたとき、僕を救ってくれたのは、フロントバッグの奥底に残っていたビスコだった!!「I LOVE BISCO」とフランスの中心で(ビスコ)愛を叫んだ。
PC11 Villians-La-Juhel(1012km)に到着したのは8時頃。
往路では利用しなかった食堂でたらふく朝食をいただく。コントロールや軽食コーナーがある棟と道路を挟んで反対側にあるので、往路は存在すら気づいていなかった。
ここのメカニックサービスでタイヤの空気圧もチェックしてもらった。Rambouilletで6.5barぐらいまで入れてたが、5bar台まで落ちていた。若干しゃっきりした走りに戻った感覚。今になって思えば、お尻へのダメージを考えたらそのままの空気圧のほうが良かったかもしれない。
あと200km。いよいよ日帰りサイクリングの距離感まで戻ってきた。
夜が明けたら眠気は完全に消えたので、あとは粛々と距離をこなしていくだけ。次のPCまであと1時間もかからないぐらいの距離で空腹感を感じたので、ふらっと、大きめの街(Mamers)で寄り道してみることにした。目に入ったBoulangerieへ行ってみると、地元で人気のBoulangerieらしく次から次へとお客さんが入ってくる。これは大正解かな?ショーケースを眺めていると、Patisserieも兼ねているようで(フランスでは多いね)パリブレストを発見!期間中に絶対食べたいと思ってたので、即決!レジに並んでいたおばあさんに「あなたPBPの出場者なんでしょ!?」って(多分そんなニュアンス)聞かれたのでサムズアップしておいた。店の前のテラス席で優雅にエスプレッソを飲みながら食べるパリブレスト。ヨーロッパのサイクリストの写真でよく出てくるやつだ!って思いながら、時間を気にせずゆっくりと休憩。甘いものを食べるとやっぱり元気が出て、そこからは一気にペースアップできた。
PC12 Mortagne-au-Percheには13時すぎ到着。
100km前後でPCがあるとちょうどいい具合にお腹も減るので、毎回しっかりがっつりと食事を摂れる。大体到着時間の目処が立ってきたのでゴールに間に合うようにと家族に連絡した。
このPCの前後には8〜10%ぐらいのややキツめの短い登りがあり、それをクリアすれば、初日に自分がヌルゲーと勘違いしたボーナスステージを残すのみのはず。記憶には間違いはなく、ここからのラスト100kmはさほどのアップダウンもない快走路。気温も上がりすぎず気持ちいいことこの上ない。ずっとこんなコースならいいのに!ずっとこんな時間帯に走れたらいいのに!追い風なので図らずしてスピードが乗りまくって楽ちん。
ラストPCであるDreuxの街は往路では通らなかったところなので、どんなところだろうかと楽しみにして走っていくと、PC手前5kmほどで急に都会的な雰囲気に。Paris市内へのベッドタウン的な位置づけの街なのか、今回走ったコースの中では1番の大都会に感じた。その分、さすがにフランスと言えど車のマナーも少しだけ悪いようにも思えた。
PC13 Dreuxには17時10分頃に到着。
Dreuxは駐輪スペースからコントロールまでが遠い!300mぐらいはあったね。疲れた体に、クリート付きのシューズでの徒歩は堪える。
ここの軽食コーナーでまたもやパリブレストを見つけたので食べたが、Mamersで食したものには遠く及ばず。異様に冷えていたので、冷凍したのを再解凍したものだったのかも。
ゴールまではあと40kmほど。のんびり行くべ、と思って出発したものの、いざ走り出すと最後という高揚感でアドレナリンが出まくってしまい、30km巡航。
そんな中、PBP中で最悪の事件が発生。自分を追い抜いていったワンボックス車から、ジュースみたいなものをぶっかけられた。暑いから水をかけてあげようなんていう感じではなく、DQNっぽいやつがケタケタ笑いながらかけていったので、嫌がらせなんだろう。最後の最後でこんなやつに出くわすとは・・・。
ボトルの水を体にかけてジュースを洗い落として、気持ちをリセット。あと20km、15kmとどんどんゴールが近づいてくる。ラストに微妙なアップダウンがあったけれどもゴリ押しで踏みまくってクリアしていく。どこにこんな体力残ってたんだ。
Rambouillet城に入ると、すでにゴールした方々やその関係者の方が、拍手で迎えてくれた。石畳区間をパンクしないように慎重にクリアして、グラベル区間へ。ゴールゲートが見えてきた。娘と父が待ってくれているはず!恥ずかしい気持ちはありつつも、両手を離してバンザイポーズでゴール!!!
ん、でも、シャッター音聞こえなかったぞ。
日本語も聞こえてこない。
おかしい・・・。あたりを見回しても家族がいない。携帯で連絡しても応答しない。
とりあえずゴールの受付を済ませることにした。初日に車検をやっていた巨大なテントがコントロールになっており、Rambouilletのスタンプを押してもらって壮大なスタンプラリー終了。記念メダルをかけてもらい、サプライズプレゼント的に行程中ずっとランドヌールを導いてくれた案内板をもらった。これ貰えないかなって走りながら思っていたので、ある意味メダルより嬉しかった。
ゴール後のウェルカムミールはカレー味!フランス人もよく分かってるね!疲れたときはカレーに限る。と、食事をしていると家族から連絡が。どうやら1本遅い電車に乗ったせいでゴールに間に合わなかったらしい。おいおい・・・。
ゴールゲートで記念撮影して家族と合流。ま、ゴール間に合わなかったのは残念だけど、走り終えた直後に祝福してもらえるだけでも幸せだと思わないと。
こうして僕のPBP2019は幕を閉じた。
走行距離:1219km、所要時間:73時間18分55秒、平均速度:16.57km/hr「完走」
2019年9月9日月曜日
Paris Brest Paris参戦記 その3
5)PBP2日目:2019/8/19(Mon)19:00〜8/20(Tue) 20:30 Loudeac (445km) 〜 Brest (610km) 〜 Fougeres(923km)
Loudeacを出てすぐに、折り返してきている選手に遭遇。自分より2時間前に出発しているとはいえ、恐るべきペース。三船さんを探したが、どうやら自分がLoudeacで寝ている間にすれ違いになったようだ。
PC5までの間にWPとして488km地点にSaint-Nicolas-du-Pelemがあるのだが、今回はここがシークレットPCに設定されていた。ここでは陽気なボランティアの方々が音楽に合わせて踊っていた記憶が残っている。
PC5までも距離は短くて、521km地点にCarhaix-Plouguerがある。Loudeacからここまでの70km ほどの区間が、全コース中1番走っていた楽しかった。大きな道から少し離れた裏道っぽいところがコースに設定されており車に抜かれるのがほとんどなく、アップダウンも緩やかで快走路とはこのこと。
Loudeacを出てすぐに、折り返してきている選手に遭遇。自分より2時間前に出発しているとはいえ、恐るべきペース。三船さんを探したが、どうやら自分がLoudeacで寝ている間にすれ違いになったようだ。
PC5までの間にWPとして488km地点にSaint-Nicolas-du-Pelemがあるのだが、今回はここがシークレットPCに設定されていた。ここでは陽気なボランティアの方々が音楽に合わせて踊っていた記憶が残っている。
PC5までも距離は短くて、521km地点にCarhaix-Plouguerがある。Loudeacからここまでの70km ほどの区間が、全コース中1番走っていた楽しかった。大きな道から少し離れた裏道っぽいところがコースに設定されており車に抜かれるのがほとんどなく、アップダウンも緩やかで快走路とはこのこと。
PC5から折返しのBrestまで残り90km。上述の通り、PC4〜5区間がヌルゲー区間だっただけに、ここからも?と期待してたのだが実際は真逆。全コース中最高標高地点(といっても300mぐらい)の峠を超える最もハードなコースがここに待っていた。
前半は、暗い森の中みたいなところ(と言っても真っ暗でよくわからないのだが)を抜けていく。前走者で明らかに蛇行している人がいたのだが、今になって思えば居眠り運転だったのかもしれない。ある程度登ったところで開けた道になり、ここは幹線道路なのか交通量が結構多い。大型トラックも通るので怖さも感じる。フランスではほぼすべての車が、自転車を追い抜くとき1.5mほどは側方距離を開けて追い抜いてくれるのだが、当然対向車線にかなりはみ出す形になるため、対向車とぶつかりそうに見えることがしばしば。その度ヒヤヒヤさせられるので精神衛生上良くない。
ゆるい斜度ながらも数km我慢のヒルクライムが続き、ご褒美のダウンヒル。下りも斜度がゆるいのでスピードはあまり出ないが、数時間後に待っている登り返しのことを考えると、ゆるい斜度でありがてえ!とむしろ感謝すらしてしまう。
メーターが600kmを超えたあたりで、ついにBrestの街が視界に入った。おそらく港湾施設のライトが暗闇に浮かび上がる。あと少し!というところで、お約束のキツめのヒルクライム、そこからきつい斜度のダウンヒルで市街地を一気に駆け下り、PC6 Brest(610km)へ到着。午前3時、所要時間33時間。
やや眠さを感じたので、食後に机に突っ伏してみたものの、睡魔がどこかへ行ってしまったのか寝付けず、結局1時間弱の休憩で再出発することにした。
BrestのPCで食べた温かいラタトゥイユみたいなのは美味しかった。
Brestに着く頃には、お尻が擦りむけて悲鳴を上げていた。お尻側には皮膚保護剤のProtect J1をスタート前に塗りLoudeacでも塗り直していたし、レーパン側にもシャモアクリームをしっかり塗っていたつもりだったのだが、塗り方が足りなかったのか、擦過傷となってしまった。このあたりからロキソニンが手放せなくなった。
Brestからの復路は若干往路と違うコースを通り、前述の最高標高の峠へ。これまた往路以上に我慢我慢のひたすら長いヒルクライム。息も切れないし、汗もそれほどかかないが、ただひたすら長い。
暗い森みたいなパートも違うコースを通り、幹線道路をそのままダウンヒル。自分は全く雨に打たれなかったのだが、雨が降ったタイミングがあったらしく、夜明けが近づくと猛烈な霧が出てきた。霧が出るということは晴れているということで、放射冷却でめちゃくちゃに寒い。ダウンヒルで手がかじかんできたので、たまらずテムレスを装着した。念の為持ってきておいて正解だった。おそらく10℃は余裕で下回って、5℃近かったんじゃないかと思う。
寒さに弱いので、かなりダメージを受け、青息吐息でPC7 Carhaix (693km)に到着。朝8時頃。
PC8 Loudeacまではまた快走路だと思うと、幾分気持ちも明るくなった。朝食をしっかり食べて出発。
復路もSaint-Nicolas-du-PelemがシークレットPCになっていたので小休止。
Brest前後で登りが続いたせいか、徐々に腰も痛くなってきていた。ハンドルポジションは普段近距離しか乗らないときと同じポジションにしていたので、コラムスペーサーを入れ替えてMaxまでハンドルを高くした。これでこのあとの腰痛は劇的に改善した。
なぜだか、このSaint-Nicolasのパンオショコラが美味しく感じられ、往路に続いて復路でも購入した。それにしても今大会中で、何個パン・オ・ショコラを食べただろう。普段はヴィエノワズリーはほぼ食べないので、数年分食べたような気分。
13時にPC8 Loudeac (783km)に到着。あと1/3。体力的には全然問題ない。問題があるとすればお尻だけ。
当初Loudeacで復路も仮眠するつもりでいたのだが、昨晩の冷え込みが相当辛かったのと、夜は景色が全く見えないためフランスを走っている感覚が絶望的に乏しくなってしまうので、なるべく昼間に走行する時間を確保する方針に変更した。日没までにあと100kmほど走ってFougeresまで行けるだろうと踏んだ。
復路のLoudeacではドロップバッグの荷物はライト等のバッテリーを入れ替えただけにして着替えもせず、そのまま1時間以内に出発した。
Loudeacからは最初全然ペースが上がらず、かなり抜かされてしまったのだが、途中から急にスイッチが入り、30km巡航できるようになった。一旦抜かされた人にも追いつき、追い越し、いいペースで走ることができた。とはいえ、かなり暑いため消耗も早い。往路では寄らなかったWP Quedillac (843km)に立ち寄り、水と補給食をゲット。
Tinteniacへの道すがら、両腕にタトゥーびっしりの強面の白人に声をかけられた。めっちゃビビっていたんだが、どうやらKUALISを知っている様子。その方のバイクはSEVENのチタンバイク! KUALISの西川さんの元同僚のビルダーの方らしく「Yoshiはいいやつだよ!」っておっしゃってたが、すみません、西川さんと直接面識ないんです。
ちなみにこの方、道中で遭遇した地元のローディーとちぎり合いしてた。(どんだけ体力あるねん)
PC9 Tinteniacには18時前に到着。やはり休憩を取ると一気に平均時速が落ちる。日暮れまでに付きたいので軽食で済ませて早々に出発。
ここまで予想よりも随分いいペースで走れていたし、体感的な疲れもそれほどひどくなかったので快調だと思いこんでいたのだが、好事魔多しとはよく言ったもの。
Tinteniacを出発して5kmほどの交差点を渡る際に、左右確認を行おうと減速してstanding still風なことをしようとしたら縁石に乗り上げてしまい落車。ほとんど停止寸前のスピードだったので、右肘の表皮の擦過傷だけで済んだが、思っている以上に疲れは溜まっているんだということを再確認。
ハイドロコロイド絆創膏を持ってきていたので処置して、再出発。
怪我の功名か、痛みのおかげで眠気も全く起きず、安全第一の25km/hr程度ののんびり運行。20時半過ぎにFougeresに到着。
傷は救護室でちゃんと処置していただいた。日本と違って湿潤療法はまだあまりメジャーじゃないのか、ハイドロコロイドを見てなんじゃこりゃ、みたいな顔をしていた。また日本ではめっきり見かけなくなった、ソフラチュールを貼ってくれた。懐かしい。
タンパク質重視の食事後に仮眠室へ。ここの仮眠室は、一部屋10名ほどの小部屋が無数にある感じ。体育で使うマットみたいなのが床に直接引いてあって、毛布などはなくエマージェンシーシートだけもらえる。館内が十分に温かいので寒さで寝られないということはなく、5時間ほどはぐっすり眠れた。自分のどこでも寝られる鈍感力はこうしたイベントでは大きな戦力になる。
Paris Brest Paris参戦記 その2
3)機材
今回の機材を紹介。
自分的には奇をてらったところが全く無いオーソドックスなチョイス。
カーボンロード(Trek MadoneもしくはTime ZXRX)で行こうかとも思ったが、せっかくなら世界に1台しかないオーダーフレームで走りたいと思ったのと、PBPのコースプロフィール的に登りが大したことないので重量はさほど気にする必要がないと判断し、KUALISをチョイスした。バッグ類を除いた状態で、だいたい8kg強なので無茶苦茶重いというほどのことはない。
足回りのチョイスが一番頭を悩ませたところ。
去年・今年の国内ブルベは巡航速度を意識してCosmic Carbon Pro SL USTで走っており、また通勤もこのホイールをメインで使っていたのだが、何度かトラブルに会いネガティブな部分が見えてきたので直前になってKsyriumを選択した。
コスカボのConsとして挙げられるのは、まずパンク時のタイヤ再装着がしづらい点。UST系のホイール全般なのだと思うけど、TLに合わせてリム外径が大きめなため、非USTに比べると明らかにタイヤの装着に時間がかかる。自分の拙い技術ではタイヤレバーなしに装着することができないため、チューブ噛み込み・損傷のリスクも増す。
特に、当初使用を検討していたコンチネンタルのGP5000との相性は最悪で、WOタイヤですらかなり努力しないと嵌められない。パンクの対応で無駄な体力と時間を消耗したくなかったし、最悪手持ちのチューブ品切れによるDNFや時間ロスを防ぎたかった。
もう一つは乗り心地。
コスカボはTLを使えば極上だが、WO同士で比較すると、外周がミドルハイトで硬さが抑えられたKsyriumの方が優れていると判断した。1200kmもの長丁場なので少しでも体へのダメージが少ない方を選んだ。
またタイヤも上記の通り、嵌めにくい印象のあるGP5000をやめ、PanaracerのMassa 2601にした。三船雅彦氏が前回、前々回と2回続けてノーパンクで走っている信頼性のある銘柄だし、そもそもPanaracerのタイヤが好きだということもあってこれにした。
GP5000は数本使ったのだが、サイドカットしたり、トレッド面がざっくり切れるというトラブルが相次ぎ全滅。走行性能はともかくも、耐パンク性において信頼性を損なったという理由もある。
4)PBP初日:2019/8/18(Sun)18:00〜8/19(Mon) Rambouillet (0km)〜Loudeac (450km)
前日から降り続いた雨は、出発日当日のお昼ごろには上がった。その後の予報は大会期間中を通して、曇り〜晴れと荒天はなさそうだったので、フェンダーは装着せずに出走することにした。
Montparnasse駅15時過ぎの電車に乗り15時45分頃にRambouilletに到着。
徒歩で会場入りし、昨日車検を受けた大型テントで出発前の夕食をいただく。前回まではビュッフェ形式で、かなり早めに来ないと食事が残っていないと聞いていたので半ばあきらめていたのだが、今回から定食式になっており申し込んだ全員にちゃんと割り当てられたようだ。電車の中からひたすらバゲットを食べまくっていて、結構お腹はいっぱいだったが、ここから数時間は補給がない可能性を考え、完食しておいた。
そうこうしているとあっという間に自分の出走時間が近づいた。
18時、家族に見送られながら、1200kmのまだ未体験の壮大な旅へのスタートを切った。
走り出して100kmはほぼ平坦と言って差し支えない程度のアップダウンで、「な〜んだ、PBPってアップダウンが永遠に続く感じって聞いてたけど、この程度かよwww」って余裕をカマしまくっていた。苦手な平坦なのでイタリア人やらベルギー人やらが積極的に先頭を引く大集団に乗っかっていた。ペースは30km/hr強ぐらいだろう。
100km過ぎに8%ぐらいの峠があり、そこでいくらか篩がかかって、最初のwelcome pointであるMortagne-Au-Percheに到着。
もうすでにお腹が減っていたので休憩所で食事をいただく。事前情報では塩気の足りない茹ですぎた小粒なマカロニみたいなパスタを食べないといけないと思っていたのだが、バターライスみたいなご飯の選択肢もあったので、これをチョイス。チキンのきのこクリーム煮込みみたいなのをかけてもらった。これは大会を通して感じたことだが、少なくとも私にとっては塩気が足りないと感じたことは一度もなく、味についても特別美味しいわけではないが不味いと感じたこともなく、総じて満足度の高い食事ができた。
食事を含めて休憩は15分ほどで切り上げて再度出発。
WPを過ぎたあたりから、徐々にPBPが本気を見せてくる感じで、アップダウンのうねりが少し大きくなってきた。とはいえ、想定内の範囲。今年の2月に沖縄のブルベで東海岸の鬼のようなアップダウンに苛まれたのに比べたら楽勝としか言いようがない。
感覚的にはあっという間にPC1 Villains-La-Juhel(218km)へ到着した。ここでは軽食のみで済ませて、たしか10分ほどで出発。この時点で9時ちょっと経過して3時20分ほど。
冷え込んできたので、レインジャケットを着た。
次のCP2 Fougeresまでの区間が自分的には結構苦行感が強かった。
この区間の特に後半が、真っ直ぐな道のアップダウンが多く、テールランプの列が幾つか先の丘の向こうまで続き地平線の果に消えていく、という景色が暫く続く。
感覚的には渋滞している高速道路を車で走ってるようで、いつになったら着くんだろう、と絶望感すら湧き上がってきた。テールランプの明かりが催眠効果を発揮して眠気も微妙に感じるし、気分転換をしようにも景色も全く見えないしで、なかなかタフな区間であった。なぜか頭の中に中島みゆきの「ヘッドライト・テールライト」がエンドレスで再生された。「旅はまだ終わらない」
PC2 Fougeres(305km)には7時過ぎ、ちょうど夜明けぐらいに到着。初日の朝の冷え込みは、振り返るとそれほどでもなく、寒さに震えるというほどではなかった。
ここまで300km/13時間なのでまずまずのペース。
補給食だとどうしても炭水化物・脂質系に偏るので、PCでの食事は意識してタンパク質を摂取。メインの肉料理と、チーズ、ハム、ゆで卵、ヨーグルトなどを摂るように終始心がけた。ここでもそういう食事にしたと思う。
PC3 Tinteniacまで、さらにPC4 LoudeacはこれぞPBPっていう感じのアップダウンが続く。PC3-PC4間の方が若干アップダウンはきついかもしれないが、噂通り斜度は5%をまず超えない。
日が出てくると一気に気温が上がり、PC4に着く手前では明らかにボトル内の水が売り切れ寸前になり、初めてPC以外でストップして小さな町のBourangerieでパンと水分の補給を行った。
これも噂通り、沿道の街々には応援してくれる地元の方々が必ずいて(下手したら真夜中でも)、子どもたちはハイタッチを求めてきたりする。沿道に住む人にとっては、4年に一度の盛大なお祭りなのだ。
PC4 Loudeac(445km)に到着したのは14時前。16時頃に到着予定で考えていたので、随分早めに着いた。ここにはドロップバッグが届いているので、仮眠もこの街で取るつもりにしていた。ガッツリ昼食を摂った後に、シャワーを浴び(数€必要)、パジャマに着替えて仮眠所へ。まだ寝ている人も少なかったから、ベッドを自由に選べた。めんどくさかったので比較的入り口から近いところのコット(担架みたいなベッド)にしたのだが、ゴール後に他の出場者の情報を見ると、もっと寝心地の良さそうなマットレスもあったとのこと。
何れにせよ、就寝したのだが、まだ日中で明るく、気温も結構高いため、ろくに寝られず2時間半ほどで覚醒してしまった。当初は6時間睡眠で7〜8時間休憩するつもりだったのだが、予定を早めて19時頃に出発することにした。
今回の機材を紹介。
- フレーム:KUALIS Ti ロード
- コンポ:Campagnolo 11s 機械式 Chorus(2012ぐらい?モデル)+クランクのみPower2Max Rotor 3D 172.5mm RIDEA楕円チェーンリング52/36T
- ホイール:Ksyrium Pro Carbon(非ワイドリム・非UST)
- タイヤ、チューブ:Panaracer Massa 2601T(700 26C) + R-Air
- サドル:Bontrager Affinity Carbbon(廃盤)
- シートポスト:Bontrager XXX 27.2mm 20mmオフセット
- バッグ類:モンベルフロントバッグ + Apoidura Expedition Top Tube Pack(1L)+ Ortlieb サドルバッグ2 (Lサイズ)
- ボトルゲージ3つ:ボトル2本 + ダウンチューブ裏にツールボトル
- フロントライト:Cateye VOLT800 2本
- リアライト:Cateye Omni5 + Omni3 Auto
自分的には奇をてらったところが全く無いオーソドックスなチョイス。
カーボンロード(Trek MadoneもしくはTime ZXRX)で行こうかとも思ったが、せっかくなら世界に1台しかないオーダーフレームで走りたいと思ったのと、PBPのコースプロフィール的に登りが大したことないので重量はさほど気にする必要がないと判断し、KUALISをチョイスした。バッグ類を除いた状態で、だいたい8kg強なので無茶苦茶重いというほどのことはない。
足回りのチョイスが一番頭を悩ませたところ。
去年・今年の国内ブルベは巡航速度を意識してCosmic Carbon Pro SL USTで走っており、また通勤もこのホイールをメインで使っていたのだが、何度かトラブルに会いネガティブな部分が見えてきたので直前になってKsyriumを選択した。
コスカボのConsとして挙げられるのは、まずパンク時のタイヤ再装着がしづらい点。UST系のホイール全般なのだと思うけど、TLに合わせてリム外径が大きめなため、非USTに比べると明らかにタイヤの装着に時間がかかる。自分の拙い技術ではタイヤレバーなしに装着することができないため、チューブ噛み込み・損傷のリスクも増す。
特に、当初使用を検討していたコンチネンタルのGP5000との相性は最悪で、WOタイヤですらかなり努力しないと嵌められない。パンクの対応で無駄な体力と時間を消耗したくなかったし、最悪手持ちのチューブ品切れによるDNFや時間ロスを防ぎたかった。
もう一つは乗り心地。
コスカボはTLを使えば極上だが、WO同士で比較すると、外周がミドルハイトで硬さが抑えられたKsyriumの方が優れていると判断した。1200kmもの長丁場なので少しでも体へのダメージが少ない方を選んだ。
またタイヤも上記の通り、嵌めにくい印象のあるGP5000をやめ、PanaracerのMassa 2601にした。三船雅彦氏が前回、前々回と2回続けてノーパンクで走っている信頼性のある銘柄だし、そもそもPanaracerのタイヤが好きだということもあってこれにした。
GP5000は数本使ったのだが、サイドカットしたり、トレッド面がざっくり切れるというトラブルが相次ぎ全滅。走行性能はともかくも、耐パンク性において信頼性を損なったという理由もある。
4)PBP初日:2019/8/18(Sun)18:00〜8/19(Mon) Rambouillet (0km)〜Loudeac (450km)
前日から降り続いた雨は、出発日当日のお昼ごろには上がった。その後の予報は大会期間中を通して、曇り〜晴れと荒天はなさそうだったので、フェンダーは装着せずに出走することにした。
Montparnasse駅15時過ぎの電車に乗り15時45分頃にRambouilletに到着。
徒歩で会場入りし、昨日車検を受けた大型テントで出発前の夕食をいただく。前回まではビュッフェ形式で、かなり早めに来ないと食事が残っていないと聞いていたので半ばあきらめていたのだが、今回から定食式になっており申し込んだ全員にちゃんと割り当てられたようだ。電車の中からひたすらバゲットを食べまくっていて、結構お腹はいっぱいだったが、ここから数時間は補給がない可能性を考え、完食しておいた。
そうこうしているとあっという間に自分の出走時間が近づいた。
18時、家族に見送られながら、1200kmのまだ未体験の壮大な旅へのスタートを切った。
走り出して100kmはほぼ平坦と言って差し支えない程度のアップダウンで、「な〜んだ、PBPってアップダウンが永遠に続く感じって聞いてたけど、この程度かよwww」って余裕をカマしまくっていた。苦手な平坦なのでイタリア人やらベルギー人やらが積極的に先頭を引く大集団に乗っかっていた。ペースは30km/hr強ぐらいだろう。
100km過ぎに8%ぐらいの峠があり、そこでいくらか篩がかかって、最初のwelcome pointであるMortagne-Au-Percheに到着。
もうすでにお腹が減っていたので休憩所で食事をいただく。事前情報では塩気の足りない茹ですぎた小粒なマカロニみたいなパスタを食べないといけないと思っていたのだが、バターライスみたいなご飯の選択肢もあったので、これをチョイス。チキンのきのこクリーム煮込みみたいなのをかけてもらった。これは大会を通して感じたことだが、少なくとも私にとっては塩気が足りないと感じたことは一度もなく、味についても特別美味しいわけではないが不味いと感じたこともなく、総じて満足度の高い食事ができた。
食事を含めて休憩は15分ほどで切り上げて再度出発。
WPを過ぎたあたりから、徐々にPBPが本気を見せてくる感じで、アップダウンのうねりが少し大きくなってきた。とはいえ、想定内の範囲。今年の2月に沖縄のブルベで東海岸の鬼のようなアップダウンに苛まれたのに比べたら楽勝としか言いようがない。
感覚的にはあっという間にPC1 Villains-La-Juhel(218km)へ到着した。ここでは軽食のみで済ませて、たしか10分ほどで出発。この時点で9時ちょっと経過して3時20分ほど。
冷え込んできたので、レインジャケットを着た。
次のCP2 Fougeresまでの区間が自分的には結構苦行感が強かった。
この区間の特に後半が、真っ直ぐな道のアップダウンが多く、テールランプの列が幾つか先の丘の向こうまで続き地平線の果に消えていく、という景色が暫く続く。
感覚的には渋滞している高速道路を車で走ってるようで、いつになったら着くんだろう、と絶望感すら湧き上がってきた。テールランプの明かりが催眠効果を発揮して眠気も微妙に感じるし、気分転換をしようにも景色も全く見えないしで、なかなかタフな区間であった。なぜか頭の中に中島みゆきの「ヘッドライト・テールライト」がエンドレスで再生された。「旅はまだ終わらない」
PC2 Fougeres(305km)には7時過ぎ、ちょうど夜明けぐらいに到着。初日の朝の冷え込みは、振り返るとそれほどでもなく、寒さに震えるというほどではなかった。
ここまで300km/13時間なのでまずまずのペース。
補給食だとどうしても炭水化物・脂質系に偏るので、PCでの食事は意識してタンパク質を摂取。メインの肉料理と、チーズ、ハム、ゆで卵、ヨーグルトなどを摂るように終始心がけた。ここでもそういう食事にしたと思う。
PC3 Tinteniacまで、さらにPC4 LoudeacはこれぞPBPっていう感じのアップダウンが続く。PC3-PC4間の方が若干アップダウンはきついかもしれないが、噂通り斜度は5%をまず超えない。
日が出てくると一気に気温が上がり、PC4に着く手前では明らかにボトル内の水が売り切れ寸前になり、初めてPC以外でストップして小さな町のBourangerieでパンと水分の補給を行った。
これも噂通り、沿道の街々には応援してくれる地元の方々が必ずいて(下手したら真夜中でも)、子どもたちはハイタッチを求めてきたりする。沿道に住む人にとっては、4年に一度の盛大なお祭りなのだ。
PC4 Loudeac(445km)に到着したのは14時前。16時頃に到着予定で考えていたので、随分早めに着いた。ここにはドロップバッグが届いているので、仮眠もこの街で取るつもりにしていた。ガッツリ昼食を摂った後に、シャワーを浴び(数€必要)、パジャマに着替えて仮眠所へ。まだ寝ている人も少なかったから、ベッドを自由に選べた。めんどくさかったので比較的入り口から近いところのコット(担架みたいなベッド)にしたのだが、ゴール後に他の出場者の情報を見ると、もっと寝心地の良さそうなマットレスもあったとのこと。
何れにせよ、就寝したのだが、まだ日中で明るく、気温も結構高いため、ろくに寝られず2時間半ほどで覚醒してしまった。当初は6時間睡眠で7〜8時間休憩するつもりだったのだが、予定を早めて19時頃に出発することにした。
Paris Brest Paris参戦記 その1
完全開店休業状態の当ブログですが、備忘録的に、また今後PBPに出場される方へは、情報はいくらあっても困らないと思うので、参考にしていただければという気持ちでPBP参戦記を残すことにします。
1)PBPとの出会い
自分がPBPの存在を知ったのは、自転車を始めた翌年2008年頃だったと思う。当時読んでいた某ブログ(数年前から更新されなくなって、その後は不明)のブログ主さんが2007年のPBPを紹介されていらっしゃって、ブルベという存在と同時にPBPを知った。
フランスにはその頃までにも2回ほど旅行したことがあって、うち1回は南仏をレンタカーで周遊するというものだったのだが、バカンスシーズンということもあってか、運転中に、キャンピングカーへ自転車を積み込んで走ってる人やサイクリングしている人を頻繁に見かけた。
当時はまだ自転車を始めていなかったが、オートバイには乗っていたので「いつかフランスでツーリングしたら気持ちいいだろうな」という漠然とした憧れを抱いた覚えがある。
オートバイから降り、自転車に乗り始め、PBPの存在を知ったあとは、その憧憬はそのままPBP出場へと引き継がれた。
が、実際にPBPに出場するとなると、PBP期間の休みだけでなく、出場権を得るための国内ブルベへの参加が思いの外ハードルが高い。家庭や仕事などとの折り合いがなかなかつけられず、2011年、2015年の2回は見送らざるを得なかった。
家庭と職場の皆様にはご負担をかけつつ、国内ブルベをこなし、なんとか2019年4月に出場権を獲得した。
2)大会前日まで
今回は羽田経由でParis CDGまでの空路を予定してたのだが、あろうことか出発予定日に台風が関西直撃という事態に陥り、あわや出場不可能かと危ぶんだのだが、予定日前日になんとか定時上がりで仕事を終え、羽田まで移動することができ、予定していた便でパリに飛ぶことができた。
関空からの直行便を取っていたら、と思うと気が気でないが、こればっかりは予想もクソもないので運否天賦にまかせるしかない。
Parisでの宿は、Montparnasse(モンパルナス)駅から徒歩10分ほどのibis系列のホテルにした。今回家族の一部が同行したこともあり、家族が観光しやすいようにとの配慮でここを選んだが、大正解だったと思う。
日本人の多くの方は、前回までの出発地点であるSaint-Quentin-en-Yvelines(サンカンタン・イヴリーヌ)周辺駅に宿を取っていたようだが、個人的にはParis市街地に取ったほうが、買い物や食事などの自由度が段違いに高いのでメリットが大きいと感じた。※余談だが、Parisの北東にもSaint-Quentinという街があり非常にややこしい。
宿泊料は調べた感じだと1泊で10€程度変わらなさそうなので(もちろんParis市内のほうが高い)、大差というほどではない。
Montparnasse駅からだと出発地点のRambouille(ランブイエ)まで電車で乗り換え無しで1本、片道7€、快速にのれば30分で到着する。Rambouilleとの間を往復する機会は、前日受付、当日+ゴール日の2往復ぐらいなので、滞在中のParis観光のしやすさなどを考えたら絶対Paris市内がオススメ。
観光なんかしねえよ!っていう方はどっちでもいいのかな。
当ブログはパン好きブログでもあるので、その観点から書くと、Montparnasse駅前にEric Kayserの支店がある。日本のMaison Kayserは正直言ってそこまで美味しいと思っていないのだが、さすがに本場のお店は段違いに美味しかった。シュクレクールの岩永シェフはたしかEric Kayserで修行したはずだが、同店のバゲットのルーツが垣間見える、先端の尖った、刺さりそうなほど硬いクラストを持つバゲットがわずか1€強で食べられる。定休日の日曜日以外、ほぼ毎日朝食はここでイートインした。
他にも、少し駅から東に行ったところにParis & Coという有名店の支店もある。ここは、バゲットコンクールで上位に食い込むほどの有名店で、さすがにここも美味しい。Eric Kayserとは全く食感が異なるバゲットで、クラスト・クラムともにやや柔らかめであるが、絶妙な塩加減があとを引き、簡単に手でちぎれてしまうのでいくらでも食べられちゃう系。
他にもバゲットコンクール入賞店を幾つか回ってみたのだが、残念なことに8月末までバカンスで休業している店舗が大半で開いているところのほうが珍しいという有様だった。日本人の感覚では、飲食業、特にパン屋なんていう主食を扱う店が1ヶ月も休むなんていうのは考えられないが、文化の違いというか働き方に対する意識の違いを実感させられた。
さて、話をPBPに戻す。
PBP前日はRambouilleで車検を受ける必要がある。
今回の滞在中、この日だけが生憎の雨。朝のうちは小降りだったものが、よりによって自分が車検を受ける時間に指定していた13時前後から本降りになってしまった。
Rambouille駅から、会場であるRambouille城まで1km以上離れており、しかも場所によっては石畳だったりして自転車ではなかなかに移動しにくい。パンクするもの嫌だし、フェンダー(いわゆる雨よけ)を付けてきてなかったから服が泥で汚れるのも嫌だったので、自転車を押しながら徒歩で移動したのだが、あとから聞く話では結構な方がパンクしたりといったトラブルに見舞われたみたいなので、結果的には正解だったのかも。
お城のゲートから会場までがまた1kmほど?歩かされて、駅からだと合計30分は優にかかる。
会場に着いたら着いたで、オペレーションがいいとは言えず、雨の中長蛇の列に並ばされる。正直、この時点ではPBPへのイメージがめちゃくちゃ悪くなってしまった。大都市マラソンの受付みたいに、もっと広い屋根付き会場を用意してくれよと思ったが、あの街では望むべくもないんだろうし、比較的高齢な方が多いボランディアで頑張って運営してくださっていたと、今になれば感謝しかない。
ただし、やっぱり欲を言えば屋根付きのほうがありがいのは間違いない。前回まで出発地点であるSaint-Quentin-en-Yvelinesにゴール後に行く機会があったのだが、受付会場であったベロドロームを見た瞬間、「次回からこっちに戻してくれ!」と思ったことを付記しておく。
車検はスムーズに通り・・・と書きたいところだが、あろうことかリアブレーキのワイヤーが緩んでるという状態で、その場でボルトを締め直す必要に迫られた。車検なんて意味ないやろ・・・って思ってたけど、このまま当日走ってどこかでトラブルに見舞われてたらと思うとゾッとする。
とりあえず再度チェックを受けて車検は通ったが、宿に帰ったあとにもう一度あらゆるボルトを締め直したことは言うまでもない。
宿に帰ったあと、かなり早めに就寝し翌朝までぐっすり寝たが、さらに睡眠薬を投入して2度寝し、前日は12時間以上の睡眠時間を確保できた。
ここの睡眠時間は完走へ向けて、最重要ポイントの一つだと思う。
2016年12月31日土曜日
シュトーレン食べ比べ2016
今年もやってきました、シュトーレン食べ比べ。
当ブログの貧弱なコンテンツの中では比較的アクセス数の多かった2014年度版に引き続き、今年もやっちゃいます。
(本当は去年も記事を書きかけていたんだけど、めんどくさくなってお蔵入りにしちゃいました。)
今年は7店舗のシュトーレンを買ってみた。
当ブログの貧弱なコンテンツの中では比較的アクセス数の多かった2014年度版に引き続き、今年もやっちゃいます。
(本当は去年も記事を書きかけていたんだけど、めんどくさくなってお蔵入りにしちゃいました。)
今年は7店舗のシュトーレンを買ってみた。
- 大阪・北新地「シュクレクール」
- 大阪・肥後橋「ラ・フルネ」
- 大阪・靱公園「ルルット」
- 兵庫・西宮「生瀬ヒュッテ」
- 東京・新宿「デュヌラルテ」
- 東京・新宿「プチメック東京」
- 岐阜・高山「トラン・ブルー」
1. 大阪・北新地「シュクレクール」
個人的には大阪で最も好きなパン屋さん。今年の5月に北新地に新店舗ができたおかげで以前よりも購入する頻度が増えた。
シュクレクールのシュトーレンを買うのは、今年で3年連続?
開封時期は販売開始から1週間も経たないぐらい。
この時期ですでにしっとりした生地で、スパイスの芳香が今回の6種類の中でも最も際立っている。ナッツが比較的多めで、ドライフルーツも洋酒がしっかり、だが過剰ではない程度に利いており、相変わらず完成度は高い。
2. 大阪・肥後橋「ラ・フルネ」
いつかパン屋紹介の記事にも挙げねばと思ってるお店。2年前にフレンチレストラン「トゥールモンド」跡地にオープンした。谷町の「gout」で修行したシェフが腕を振るう。「gout」の前にはパティスリーでも修行をしていたそうで、お菓子もケーキも美味しい。
開封時期は販売開始から1週間以内。
開封した瞬間、鼻にツーンと来るほどの洋酒の風味。正直、私にはちょっときつすぎて、最初の数日はほとんど手を付けずに酒が抜けるのを待ったぐらい。
程よく落ち着いたあとでは、生地のしっとり具合やフィリングの味わいともに非常に好み。スパイスの風味はお酒に押されてちょっと控えめな印象。
幾分大人な味わいのシュトーレンといったところか。
3. 大阪・靱公園「ルルット」
小ぶりなシュトレーン。生地がパサッとした食感で、スパイスの風味もやや乏しい。フィリングもいささか物足りない感じ。ちょっと好みではなかった。
4. 兵庫・西宮「生瀬ヒュッテ」
当ブログでも取り上げた、旧タケウチの新店舗。NHKのプロフェッショナルで取り上げられてしまったせいで、なおさら予約しにくくなった感がある。店舗では予約者しか販売してくれないのでシュトーレンを取り扱っていたのかは分からないが、毎年大阪市内の提携ショップ数店舗でシュトーレンの委託販売を行っている。
私は淀屋橋のカフェで購入した。
開封時期は販売開始から1週間以内。
開封時点ではかなりパサパサしたドーナツみたいな生地感。フィリングも独特で、柑橘類が主体、かつ量も少なめ。スパイス、洋酒ともにアクセントは控えめ。生地そのものだけを捉まえると美味しいのだが、少なくとも私の求めているシュトーレンではないなと感じた。
そこから2週間ほどじっくりと食していったところ、さすがに最後の方にはかなりしっとりとしてきて、ようやく全体が調和した。
ただ、やはり期待値ほどの仕上がりではない印象。
5. 東京・新宿「デュヌ・ラルテ」
表参道に本店を構えるパン屋さんのデパ地下店。新宿伊勢丹B1Fで購入。
小ぶりな分、1000円前後と購入してみやすい価格帯だったので予定外に購入。
購入後、およそ10日〜2週間ほど経過後に開封。
失礼な話ではあるが、正直全く期待せずに買っていたのだが、それに反してかなり好みの一品だった。ギュッと詰まった生地はしっとりと、フィリングは決して大きな断面ではないにもかかわらず十分量が充填されており、ややスパイス感は乏しいものの、レーズン系主体のドライフルーツのジューシーさが特筆すべきであった。
6. 東京・新宿「プチメック東京」
何が悲しくて京都のお店のシュトーレンを東京で買わねばならぬのか、というツッコミはさておき、わが愛するプチメックのシュトーレンは初めてである。
購入後およそ10日〜2週間ほど経過後に開封。
いわゆる王道系のシュトーレンで、生地、フィリングともに申し分がない。表面の砂糖は粉糖ではなくてグラニュー糖のような目の粗いものを使っているのが目を引く。
そつがないのだが、逆に言えばここならではという特徴に欠けるという言い方もできるかもしれない。また、日をおいて食べたときに、他の店はしっとりしてきたのにここのはあまり変化が感じられなかった。察するに、表面の砂糖の目が粗いがゆえに、他のシュトーレンで見られるような、砂糖が生地にジュワッと溶け込んで一体化していきにくいではないか。
7. 岐阜・高山「トラン・ブルー」
今回の本命。昨年のツーリングで念願の訪問を果たした、飛騨高山の名店。
お取り寄せになるシュトーレンは価格が5000円弱と一見VIPクラスながらも、サイズも他店の倍ほどあり、グラム単価でいくとほぼ差はない。
11月半ばとかなり早めに到着したので、1ヶ月ほど寝かしてから開封。
これまたド直球の王道シュトーレン。粉糖できれいにコーティングされた生地からは、ほどよくスパイスと洋酒の香りが漂い、かなり多めかつ大振りなナッツの食感がアクセントになりつつ、ドライフルーツの甘みが滲み出す。
開封した直後は1ヶ月もおいてた割にはそれほど熟成が進んでおらず、わずかにしっとり感が足りていなかったが、それは乾燥剤の入った密封状態だったためであろう。開封後は、一気に熟成が進み、日に日に風味が増していく。開封直後のほのかな物足りなさは完全に消え去り、ラスト数切れは食べるのが惜しいぐらいにしっとりと美味しかった。
***********
年々シュトーレンを作るブーランジェリー、パティスリーが増えてきていて、どこのを選ぼうかと迷いに迷う贅沢な悩みに苛まれる。
去年、一昨年と購入した「シニフィアン・シニフィエ」のシュトーレンは、もはや至高の存在すぎて別格扱いなので、今年は敢えて買わなかった。
安定した美味しさの中にもピリッとアクセントを利かせてくれる「シュクレクール」のシュトーレンが関西の横綱であろうか。私の好みとしては今回のベストワン。
予定外に購入して嬉しい誤算となったのが「デュヌラルテ」。これはいつかリピートしてみたい。
総じて言えることは、ハード系のパンが美味しいところは、シュトーレンも美味しいということ。ブラインドで買うときの一つの指標にすると良い。
分類で言えばケーキに近い気もするが、発酵や熟成という要素が絡むからには、ブーランジェリーの分野なんだろうか。来年はパティスリーのシュトーレンをいくつか買ってみて、そのあたりを調査してみたい。
Garmin Forrunner 735XT
ランニング用ウォッチをアップデートして3ヶ月ほど経ったのでそろそろレビューなど。
最後の不満点がGPSの検出速度の異常な遅さ。
910XTでは下手したら大げさではなく5分ぐらいGPSを検出できないことがあった。
その点、735XTは爆速で、60秒以内にはほぼ確実に捕捉してくれる。もっとも、EdgeシリーズやeTrexシリーズの比較的新しい機種とはほぼ同等なので、910XTが異常に遅かっただけだとは思うが。
ただし、GPSの測定精度については、若干微妙な部分もあることを記載しておく。私はほぼ毎日同じコースを走るのだが、特に走り初めの1kmが日によって10mほど誤差がある。距離を重ねるにつれ誤差が広がっていくというようなことはないが、ちょっと気になる点ではある。
ここまで述べたような機能であればわざわざ735XTを買わずとも、ランニング専用モデルである235を買えば済む。私があえて735XTを選んだのは「ランニングダイナミクス」の測定ができるからである。
加速度センサーを利用して、ランニング中の上下動や片足ごとの接地時間、接地バランスなどを測定できるという機能。
パッと見はすごそうな機能ではあるのだが、実際に使ってみると結構微妙な機能であることがわかる。
まず、「測定するには心拍ベルトをつけなければいけない」という問題。これを付けなくないから光学式HRMにしているのに、である。時計本体に加速度センサーを付けても体幹部の上下動はもちろん測定できないので仕方ないのではあるが、スマートさにかけるというか、本末転倒感は拭いきれない。
もう一つは「測定したからどうなんだ?」って言う問題。例えば私の場合、接地時間が理想値よりも若干長いのだが、それが分かったところでどのように改善すればいいのかがわからない。単純に引き足を意識すればよいというものでもないだろうし。活用できないデータは取ってないのと同じである。
そんなこんなで、買って数回使った後は、ほぼお蔵入りしてしまっている機能である。
とまあ、結論から言えば下位モデルで十分なのではあるが、モノ自体には非常に満足している。
私が以前に使っていたのは910XTというトライアスロンモデル。モデル末尾のxtというのはおそらく「クロストレーニング」の略なんだろう。
高度計が逝ってる以外にはさしたる不具合はないものの、不満点が3つほどあったので、買い替えを決意した。
不満の1点目は、Bluetooth不搭載なこと。
スマホアプリでGPSログを取れて、即データをアップできるご時世に有線で繋いでデータ転送っていうのがストレスに感じてきた。
735ではスマホとBTで接続してガーミンコネクトにデータを即アップできる。ガーミンコネクトの設定次第では、STRAVAやTrainingPeaksなんかにもデータを転送することも自動でやってくれる。
走り終わった後に、トレーニングログを終了さえすれば、特に追加の操作は必要なく自動でスマホと接続してくれるのも非常にありがたい。
もはや有線接続はありえない。
この機種のもう一つのウリが、光学式心拍計。HRMベルトを装着せねばならぬのが、910XTの2つ目の不満点だった。
私は光学式心拍計の元祖「Mio」を新し物好きで購入してはいるのだが、コレがまた初物の宿命で不具合が多い。安静時の測定には概ね問題ないのだが、高強度になると途端に計測が怪しくなりHR200とかの異常値を連発し始める。どちらかというと、高強度域でこそ正しく測定して欲しいわけで、この測定精度の低さは致命的ゆえ、ほぼ使うことはなくなった。
私は光学式心拍計の元祖「Mio」を新し物好きで購入してはいるのだが、コレがまた初物の宿命で不具合が多い。安静時の測定には概ね問題ないのだが、高強度になると途端に計測が怪しくなりHR200とかの異常値を連発し始める。どちらかというと、高強度域でこそ正しく測定して欲しいわけで、この測定精度の低さは致命的ゆえ、ほぼ使うことはなくなった。
では735XTはどうか。
結論から言うと素晴らしい測定精度である。
購入してから2ヶ月ほどで、明らかな異常値は「一度も」認めていない。
この手の光学式HRMでは起動時のキャリブレーションが大事なようなので、いつも大体玄関先で靴紐を結び始めるあたりで起動しておくと、ちょうど良い塩梅でキャリブレーションが終了する。
また光学式HJRMでは装着する部位にもコツが必要で、一般的な腕時計よりも中枢側(肩関節側)に装着したほうが読み取り精度がアップするらしいのだが、735XTに限って言えばどこに装着しても異常値を吐くことはない。
この手の光学式HRMでは起動時のキャリブレーションが大事なようなので、いつも大体玄関先で靴紐を結び始めるあたりで起動しておくと、ちょうど良い塩梅でキャリブレーションが終了する。
また光学式HJRMでは装着する部位にもコツが必要で、一般的な腕時計よりも中枢側(肩関節側)に装着したほうが読み取り精度がアップするらしいのだが、735XTに限って言えばどこに装着しても異常値を吐くことはない。
最後の不満点がGPSの検出速度の異常な遅さ。
910XTでは下手したら大げさではなく5分ぐらいGPSを検出できないことがあった。
その点、735XTは爆速で、60秒以内にはほぼ確実に捕捉してくれる。もっとも、EdgeシリーズやeTrexシリーズの比較的新しい機種とはほぼ同等なので、910XTが異常に遅かっただけだとは思うが。
ただし、GPSの測定精度については、若干微妙な部分もあることを記載しておく。私はほぼ毎日同じコースを走るのだが、特に走り初めの1kmが日によって10mほど誤差がある。距離を重ねるにつれ誤差が広がっていくというようなことはないが、ちょっと気になる点ではある。
ここまで述べたような機能であればわざわざ735XTを買わずとも、ランニング専用モデルである235を買えば済む。私があえて735XTを選んだのは「ランニングダイナミクス」の測定ができるからである。
加速度センサーを利用して、ランニング中の上下動や片足ごとの接地時間、接地バランスなどを測定できるという機能。
パッと見はすごそうな機能ではあるのだが、実際に使ってみると結構微妙な機能であることがわかる。
まず、「測定するには心拍ベルトをつけなければいけない」という問題。これを付けなくないから光学式HRMにしているのに、である。時計本体に加速度センサーを付けても体幹部の上下動はもちろん測定できないので仕方ないのではあるが、スマートさにかけるというか、本末転倒感は拭いきれない。
もう一つは「測定したからどうなんだ?」って言う問題。例えば私の場合、接地時間が理想値よりも若干長いのだが、それが分かったところでどのように改善すればいいのかがわからない。単純に引き足を意識すればよいというものでもないだろうし。活用できないデータは取ってないのと同じである。
そんなこんなで、買って数回使った後は、ほぼお蔵入りしてしまっている機能である。
とまあ、結論から言えば下位モデルで十分なのではあるが、モノ自体には非常に満足している。
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