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2014年12月22日月曜日

シュトーレン食べ比べ2014(その2)

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前回の続き。
・シニフィアンシニフィエ(東京)

今年購入したシュトーレンでダントツ高価。たしか4000円オーバー。化粧箱に入れられており、ただならぬ風格を漂わせる。
4〜5種類ほどのシュトーレンがあったかと思うけど、一番オーソドックスなものを選んだ。入後2週間寝かせてからの試食。
密度の高い生地感は適度にしっとり。舌触りがすこぶる良い。表面のコーティングには和三盆が使われており、まさに雪のごとく口腔内で溶けていく。
特筆すべきはやはりドライフルーツを漬けた洋酒の香りで、フルーツを噛み締めるとフワッとほのかな酒気が立ち昇る。大人の味わいだ。
スパイスの香りは控えめではあるが甘みに傾きそうな味蕾たちの手綱を締める。
今年食べたシュトーレンでベストなのは間違いない。ただ、他店の倍近い価格を許容できるほどの差かといえば、意見は分かれるだろう。

・エスカガワ(大阪・中崎町)
ややうぐいす色がかった3〜4mmはあろうかという分厚い砂糖でコーティングされている。砂糖はシニフィアン・シニフィエと同じく和三盆だろうか、非常に口どけが良い。
今年買ったものの中で唯一?マジパンが入ってた。その他のフィリングはレーズン、オレンジピールのみとフルーツは控えめ。アーモンドがアクセントに加えられている。
上述の砂糖のコーティング部分と一緒に食べると非常に甘い。が、しつこくない甘さであり食べやすい。洋酒やスパイスの香り付けはそこまで強くなく、子どもでも食べやすいか。

・エイトノットベーカリー(大阪・天満橋)
見た目は一番オーソドックスなシュトーレン。 カットしてみると、生地が占める割合が非常に大きいことに気づく。またその生地も、他のお店に比べると目が比較的詰まっていてどっしりと重量感。
フィリングはドライフルーツ+ナッツ少量。スパイスはかなり控えめ。
全体的にパンっぽさがかなり強い。というか個人的には強すぎる。
10日ほど熟成させると、しっとり感が増すとケーキっぽい雰囲気にはなってきたが、それでもパサツキが強い。
普段のここんちのパンは非常にお気に入りなだけに、ちょっと肩透かしを喰らった気すらしたというのが正直なところ。

<総評>
今年食べた中でのナンバーワンは、価格を度外視すればシニフィアン・シニフィエかな。
大阪近郊に住んでいて、コスパも考えるとベストバイはシュクレクールとしておく。

2014年12月10日水曜日

シュトーレン食べ比べ2014 その1

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ここ数年で一気に定着してきた感のあるシュトーレン。我が家でも5〜6年前からクリスマス時期の楽しみのひとつとしている。
一応シュトーレンを紹介しておくが、もともとはドイツ発祥のお菓子で、洋酒漬けしたドライフルーツやナッツなどをパンのような生地に練りこんで焼き上げたもの。糖度が高く、かつ焼き上げてあるため日持ちし、1ヶ月ほどかけて熟成させつつ変化を楽しむのもオツなもの。
フランス北東部のドイツに近い地域でも人気のあるお菓子らしく、ドイツパンのお店だけでなく、フランス系のパン屋でも売られている。
有名なパン屋がこぞって販売するようになってきており、どこのシュトーレンを選ぶかで頭を悩ませてしまう。
すでに手に入らないものもあるかもしれないが、今年購入したシュトーレンを紹介、食べ比べしていく。

まずは第一弾。

・ベッカライビオブロート(芦屋)
表面には粉糖ではなくグラニュー糖を使ってるのが特徴的。全粒粉100%で作られているためか目が粗く、購入して1週間ほどではややボソボソとした食感であったが、2週間ほどでずいぶんしっとりしてきたので、ここらへん以降が食べころか。スパイスは控えめ(ほとんど、もしくは全く使ってない?)。フルーツはレーズンが大半で、オレンジピール、レモンピールなどがアクセント程度に。ナッツ類はなし。
ここのパンと同じく、素材(特に小麦)の風味を大切にし、素朴で食べやすい。スパイスが強いものは子供にはやや刺激的すぎるものもあり、家族で愉しめるシュトーレンだろう。
サイズが5種類ほど用意されているのも家族の規模に合わせて買えるので嬉しいところ。

・ルシュクレクール(吹田)

開封した瞬間からスパイスの香りが漂う。特にカルダモンの香りが鮮烈。表面を覆う粉糖にもスパイス?の色が移っているのか黄色くなっている。
フィリングはレーズン、レモンピール、オレンジピール、フィグ、イチゴ。さらにカシューナッツとアーモンド、ピスタチオが入っており、ナッツ類の食感が良いアクセントになっている。
購入直後の生地は目はそれなりに細かいもののしっとりというよりはざらっとしたもの。これもはやり10日ほど熟成させるとしっとりさが増した。
また熟成とともにスパイスの角が取れてきた印象で、口腔内に残る香りの残滓が深い余韻となる。

・パリアッシュ(中之島)
3種類のシュトーレンを販売されておられ、そのうちオーソドックスなものと、私が買ったイチゴのシュトーレンは定番品のようだ。もう一つのショコラのシュトーレンは生地にも洋酒を練りこんであるようで、お酒の風味が強いものは子供が食べられないのでパスしておいた。
さてイチゴのシュトーレンである。
赤さが透けて見える独特な外観。
スライスすると、おおっ!と思わず歓声を上げてしまうほどに真っ赤な生地!
非常にしっとりし、かつ密度が高いため、パンというよりもクッキーに近いか。ここのパンは普段からしっとり目なので、食べ慣れた人なら違和感は全くないだろう。
イチゴのわずかな酸味と濃厚だがさっぱりした甘さが非常に特徴的。イチゴの果汁だけでなく、果肉が埋め込まれており、この肉感あふれる食感がまたよい。さらにピスタチオの歯ごたえがさらなるアクセントとなっている。
シュトーレンというイメージからは大きく乖離しているが、こういう新解釈も大いにアリだと喝采を送りたい意欲作。
なお、1週間ほど熟成させたが、自分にはあまり変化が感じられなかった(ややイチゴの酸味がおさえられたか?)。

・ブーランジェリー夢屋(姫島)

今回紹介する中では一番オーソドックスなシュトーレンだろうか。
購入時点ですでに少し熟成されていたようで、生地は十分にしっとりしていた。レーズン、オレンジピールなどのフルーツにナッツが少量。スパイスもわずかに使ってるとは思うが、本当にアクセント程度。基本はバターの効いたほのかな甘みで食べやすい。
他のお店が凝り過ぎてるだけとも言え、ここのシュトーレンで十分に美味しい。

少なくとも後3本は買っているので、その2に続きます。

2014年12月4日木曜日

パンの本、読み比べ

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12月に入り一気に寒さが増して秋の気配は吹き飛んでしまった。過ぎ去りし秋の夜長を愉しませてくれたパン関係の本を2冊紹介したい。奇しくも、この秋には著明なパン職人の著書が3冊発売された。パン特集を組む雑誌も頻繁に発売されているところをみると、パンブームが目前に来ていると言っても過言ではなく、そんな世の潮流を追い風にして発売されたのだろうか。その3冊の著者は、東京「シニフィアン・シニフィエ」の志賀勝栄シェフ、芦屋「ベッカライ・ビオブロート」の松崎太シェフ、「ドンク」の仁瓶敏雄シェフと、いずれ劣らぬ日本パン業界の綺羅星がごときシェフたちである。
今回読んだのは前2者の著書。1冊が「パンの世界」(著:志賀勝栄)、もう1冊が「ベッカライ・ビオブロートのパン」(著:松崎太)である。ちなみに仁瓶氏の本はいわゆるレシピ本なので今回紹介する2冊とは随分毛色が違う。というか、今回紹介する本の方がどっちかというと異端寄りだろう。
発売された時期が重なったのは偶然なのだろうが、両者ともにレシピらしきものは本の数ページあるかないかで、自伝と分類するのが最も近いだろうか。
それぞれパン職人として修行を積んでいった経歴を披露しつつ、その時点で得た気付きを紹介していくというような流れ。志賀氏の本はそこから派生して現在の氏の作るパンの基礎理論に関する考察が続く。
読み比べると、二人のシェフの共通点と相違点がくっきりしてくるから面白い。二人に共通するのは理論派という点。「師匠がこうしろと言ってたから」というような受け入れ方はせず、必ず製パン理論の原点に立ち返り、その作業工程の意味、その素材を選ぶ意味を検討・吟味・理解したうえでパン作りを行っている。味という非常にあいまいな感覚の世界で生きている方々であるにも関わらず、やっていることは逆に恐ろしく計算されたロジカルな行為であるという点が非常に興味深い。考え方がいちいち理系的なのだ。特に志賀氏の著書は、製パン入門書という態で書かれており、私自身今までずっと疑問に思っていたが理解できていなかった製パン理論のいくつかは、この本を読むことですっと氷解した。世にあふれる「パン作りの本」として売られている本の中で製パン理論についてしっかりした説明がある本自体がかなり少なく、痒いところに手が届かない感覚がずっとあった。この本は読み物として無理のないクオリティでしっかりと理論的な解説がなされているのが秀逸。私自身、著者らと同様に理屈が理解できないものは生理的に受け入れがたいタイプの人間なので、著者らの感覚が非常に理解できた。
一方、二人が全く違うのは、人生における仕事の割合だ。片や、志賀氏は睡眠時間以外のほぼ全てを製パンに捧げるかのような生活を送っておられ、もはや求道者と呼んで差し支えないのではないかとすら思える一方で、松崎氏は毎日8~9時間ほどの一般的な労働時間内で仕事を終え、余暇を満喫しておられる。どちらの人生がより充実したものになるのかは、それこそ個々人の価値観によるものだろうと思うが、道を極めていった先の姿がここまで乖離するというのもこれまた一興だ。要はキャパの問題なのかなと思う。松崎氏が全身全霊で仕事に打ち込める時間の限界が8時間なだけで、決して仕事をおろそかにしているわけではないということは、彼の作り出すパンを実際に食べてみれば一目瞭然だ。そうだ、両者に最も共通しているのは「仕事に対する情熱」だ。その道を極めた人の生き方には、他業種の人間でも十分感じ取れる何かの学びがあると思う。この2冊はいずれもそうした学びの多い充実した本であった。惜しむらくは、この2人ともが自らの手でのみパンを作っているということ。いずれ彼らのパンは食べられなくなる。そんな残念な日が来る前に、彼らのパンをしっかりと味わいたいものだ。
追記:志賀氏の本は図書館で借りた後、思わず衝動買いするほど感銘を受けた。
 
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